VoIP市場は全体としてまだ小さいが、それでも、電話会社にとっては脅威である。携帯電話会社による遠距離通話の「使い放題」プランが電話料金の引き下げに拍車をかけたことからも、電話会社は確かに脅威を感じているのだといえる。
この脅威に対抗するため、電話会社はビジネスを拡大せざるを得なくなり、高速インターネットサービスやテレビ配信などの新サービスに対応するべく、新しいネットワーク構築に膨大な費用を費やしている。しかし、新サービスに対応しても、電話会社の収入はかなりの部分が従来どおり電話回線の使用料によるものである。キャッチホン、3者通話、留守番電話などを追加しない、もっとも基本的な電話サービスであっても、1カ月に20ドルの費用がかかる。ダイヤル通話を提供する以上のことを何もしなくても、全顧客から得られる収入が20ドルあるということだ。
Skypeユーザーは、PCにソフトウェアをインストールし、ヘッドセットとマイクロホンを購入して、コンピュータを電話がわりにすることで、従来の電話ネットワークを完全に迂回することができる。Vonageユーザーは、ブロードバンド回線に接続してインターネット経由で通話するルータを利用することで、自宅の電話回線を完全に撤去することが可能である。
一方Jajahは、固定電話であるか携帯電話であるかに関わりなく、既存の電話を利用してインターネット経由の低コスト通話が可能な点で、そのほかのこうしたVoIPサービスとは異なっている。ユーザーがJajahのウェブサイトにアクセスして、自分の電話番号と電話をかけたい相手の番号を入力すると、Jajahが両方の番号を呼び出す。そのうえで、もっとも料金が安く信頼性の高いIPリンクを探して両者を接続するのである。このサービスは55カ国で利用が可能で、国際電話料金が1分あたり3セント程度になる場合もある。Jajahの幹部は、このサービスにより国際電話料金を従来の電話会社と比較して約80パーセント削減できると主張している。
Jajahの最高経営責任者(CEO)であるTrevor Healy氏は「電話会社とは非常に友好的な立場にある。電話会社が既存の回線使用料で利益を得ていることを承知しているし、われわれのサービスがそのような利益を奪うことは一切ない」と述べた。
この主張は、Deutsche Telekomの投資機関であるT-Venture Holdingを説得するのに十分なもだった。
T-Venture HoldingのCEOであるGeorg Schwegler氏は「Jajahを使用するためには、地上回線やモバイル契約が必要なため、Jajahは脅威ではない。一定の食い合い効果が残る利用ケースもわずかにあるが、全体としては、Jajahのビジネスのグローバルアプローチと地理的分布が、魅力的な相乗効果の可能性を増やし、脅威の可能性をはるかに上回っている」と述べた。
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