また、Griffinでは、100%の性能を発揮する必要がない場合には、クロック速度を落とすことができる。現在のAMD製プロセッサでは800MHzまでしか速度を落とせないが、Griffinではすべてのコアが独立しているため、最大速度の8分の1まで減速可能になる。つまり、2.4GHzのプロセッサの場合、1つのコアで速度を300MHzまで落として消費電力を節約できるわけだ。
「ここまで速度を落としても、作業の種類によっては問題なく実行できる」とSteinman氏は言う。
その他の新しい特徴として、Griffinでは、さまざまなプロセッサをつなぐコンピューターバス「HyperTransport 3.0」のリンクを、使われていないときは切断して消費電力を節約する。Steinman氏によれば、この機能の制御は主にCPUとチップセットが行い、OSの実装する電源管理機能より上位で、独立して動作するという。
ただし、Griffinでは、サーバ向けプロセッサほど多くのメモリを搭載することはできないと、Steinman氏は言う。同氏は具体的な数値を示さなかったが、GriffinはノートPCクラスのメモリの搭載を想定しており、サーバに必要な大容量のメモリには対応していないという。もちろん、このアーキテクチャの違いも消費電力の節約につながっている。
Griffinは当初から65ナノメートルプロセスで製造され、各コアプロセッサには1Mバイトのキャッシュが搭載される予定だ。
一方、ノートPC向けプラットフォームのPumaには「PowerXpress」機能が搭載され、こちらでも電源管理が行われる。この機能は、専用GPUを搭載しているノートPCについて、バッテリでの動作中は専用GPUをオフにするというものだ。GPUがオフモードに入った場合には、チップセット統合型のグラフィックス機能が利用される。
ただし、実際には、ほとんどのノートPCが専用GPUを搭載していない。Steinman氏もそのことを認めているが、搭載しているマシンでは省電力効果がある。
ただし、Pumaは、逆にAMDの首を絞めるおそれもある。AMDはこれまで、IntelのCentrinoを痛烈に批判し、CetnrinoのせいでノートPCメーカーとユーザーは「オールIntel」の世界に閉じこめられていると主張してきたからだ。その一方で、同社はチップセットおよびGPUメーカーのATI Technologiesを買収している。CentrinoがオールIntelなら、PumaはオールAMDのソリューションということになる。
2006年にも、AMDはプラットフォームの開発開始を示唆していた。
Intelが、新型プロセッサ「Pentium M」を搭載したノートPC用プラットフォーム、Centrinoを発表したのは2003年のことだ。Pentium Mは、当時の他のIntel製プロセッサとは異なるアーキテクチャを採用し、消費電力の大幅な削減に成功した。また、当時としては珍しく、Wi-Fiチップをプラットフォームに組み込んだことで、ノートPCから公衆無線LANへの接続が容易になった。Centrinoは好調な販売実績を記録し、その成功はWi-Fiの普及を大いに後押しした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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