一方、ストックオプションのバックデートが会計処理に与える影響はJobs氏も認識していたと証言し、SECにも責任を問われた元最高財務責任者(CFO)のFred Anderson氏に関する質問もあった。Jobs氏はこの質問に対し、Anderson氏はオプションのバックデート処理を認識しており、財務報告書がオプションパッケージの本来の費用を反映するようもっと努力すべきだった、と示唆するSECの地区担当幹部の言葉を引用した。オプションのバックデートは当該企業が費用を計上している限り何の問題もないが、多くの企業がそれを怠っている。
また、Teamsters Unionの関係者がAppleの報酬委員会を統括するBill Campbell氏への質問許可を求めたが、Jobs氏はそれを拒否した。Jobs氏の給与は年間わずか1ドルだが、株式付与によって数億ドルの収入を得ることにより、2006年には米国で最高収入のCEOとなった。
同氏は、「自分には顔を見せることに対して年間50セント、業績に対して残りの50セントが支払われている」などとジョークを飛ばした。TeamstersはAppleに対し、幹部報酬と実績の関係をもっと透明にするよう求めたが、その提案は受け入れられなかった。Hewlett-Packard(HP)の株主は3月にあった同様の提案を仮承認している。
Jobs氏はさらに強く迫られると、「それほど強い意志があるなら2008年度の取締役に立候補すればよい」と語った。
Appleの株主総会では環境も長年議題にあがっており、Jobs氏と同社はコンピュータのリサイクルと、Apple製品からの有害物質の排除について一掃の努力を求められている。しかし、Trillium Asset Management CorporationおよびEducational Foundation of Americaの関係者は、Jobs氏が2008年までの有害物質排除を約束したことを受け、Appleの取締役会に環境対策改善手法に関する調査を求める提案を取り下げた。
それでも、2人のGreenpeace関係者がJobs氏に対し、Appleを地球上で最も環境に優しいコンピュータベンダーにするための一層の努力を求めた。多少気分を害した様子のJobs氏はこれに対し、約束をしながらそれを果たせないでいる企業にもっと注意を向けるべきでは、と大げさな身振り手振りでGreenpeaceを非難した。
Jobs氏は、「あなたがたは、今後に向けた言葉だけで企業を判断している。エンジニアや科学者をもう何人か雇って企業と話をしたらどうか」と語った。なぜなら、有害物質に代わる安全で信頼性の高い代替製品を見つけるのは本当に難しい技術課題だからだ、と同氏は説明した。
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