サンフランシスコ発--これは重大な方向転換だ。Free Software Foundation(FSF)は、来たるべき「GNU General Public License version 3」(GPLv3)で、「Apache License」との互換性を実現させるべく取り組んでいる。
FSFのエグゼクティブディレクターPeter Brown氏は米国時間5月8日、Sun Microsystemsが開催した「2007 JavaOne Conference」のパネルディスカッションで、「GPLv3を発表する際、最終変更としてこの互換性が盛り込まれると考えている」と発言した。GPLv3のドラフト第3版が発表されるとき、Apache Licenseとの互換性はぎりぎりになって削除が決断されていた。
ライセンス間の互換性が実現すると、オープンソースソフトウェアがそれぞれ別個に開発される場合に比べて、コードの共有がより広い範囲で可能になる。ライセンスが違えば、要件や制限が異なることがあり、ときには互いに相容れない部分もある。たとえば、GPLではソフトウェアに対するいかなる変更も、その変更を組み込んだソフトウェアが配布されしだい、すみやかに公開することが求められる。一方、Apache Licenseでは変更を隠したまま、オープンソースのコードをプロプライエタリソフトウェアに組み込むことが許されている。
GPLを生み出し、見直し作業の監督にもあたっているFSFは、もともとGPLv3にApache Licenseとの互換性を盛り込むつもりだったと、Apache Software Foundation(ASF)の法律問題担当バイスプレジデントを務めるCliff Schmidt氏は話している。ドラフトで互換性が削除されたのは、対処すべき問題や組織がたくさんあったためだろうと、Schmidt氏は指摘している。
Schmidt氏はパネルディスカッションで、FSFとASFは現在、ライセンスの互換性について詳細を詰めているところで、「互換性実現のために、両組織は共同で作業している」と語った。
ただし、Schmidt氏がインタビューで語ったところによると、ライセンスの互換性が実現したとしてもGPL側の制約により、オープンソースコードの移植が許容されるのはApache LicenseのプロジェクトからGPLのプロジェクトへの方向のみとなる見込みだ。つまり、たとえばSunがJavaをオープンソース化したプロジェクト「OpenJDK」は、「Apache Harmony」のプロジェクトからおこぼれを得られるかもしれないが、その逆はない、ということだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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