貢献度の高いLinuxカーネルプログラマーの大半が、提案されている次期バージョンの「GNU General Public License(GPL)」に否定的であることがわかった。GPLは多くのオープンソースプロジェクトに適用されている。
米国時間9月22日に発表された調査結果によれば、29人のカーネルプログラマーのうち28人が、GPLバージョン3(GPLv3)について、現行のGPLバージョン2(GPLv2)よりも劣っていると評価した。LinuxプログラマーでありSteelEyeの従業員でもあるJames Bottomley氏が、Linuxカーネルに関する情報を交換するメーリングリストに投稿した記事によれば、カーネルプログラマーらに-3から+3の評価を求めた結果、最も高かった評価は、可でも不可でもないことを意味する0で、平均は-2だったという。この調査はLinuxを率いるLinus Torvalds氏が提起したもので、Torvalds氏はこれまでにもGPLのバージョンアップに反対の意見を表明していた。
Free Software Foundation(FSF)はGPLを昨今の状況に適応させることを目指してGPLv3を提案しているが、特許やデジタル著作権管理に関する変更について抵抗にあっている。実際に、著名な反対者の強硬な態度によって、GPLv3は世に出る前に事実上廃れてしまう可能性もあるという見方もある。
「GPLv3は、現時点ではライセンスとしては瀕死の状態だと言わざるを得ない」と、IlluminataのアナリストであるGordon Haff氏は言う。
非常に多くのオープンソースプロジェクトがGPLを利用しており、「MySQL」データベースや「Samba」ファイルサーバソフトウェアなどもその例だ。Linuxカーネルはその中でも、おそらく最も成功しており影響も大きい存在だ。Linuxには非常に多くのコンポーネントを含まれているが、LinuxカーネルプロジェクトはこのオープンソースOSの中核となっている。
この調査結果は、GPLv3反対派であるTorvalds氏の意見が、Linuxプロジェクトの中心グループの中では例外的なものではないことを示している。
Torvalds氏は22日付けの投稿で、「わたしはこれまで公然とGPLv3を気に入らないと言ってきたため、外部の人の多くが・・・わたしが孤立しているただの変わり者だと考えていただろうと思う」と述べている。
これに加え、調査対象のLinuxプログラマーのうち10人が、現在のGPLv3の草案に反対する自分たちの立場を表明するポジションペーパーを22日に公表した。「The Dangers and Problems with GPLv3(GPLv3に関する危険と問題)」と題されたこの文書では、GPLによってオープンソース界が分断される可能性があると予想している。新しいバージョンのライセンスによって、Linuxを販売している企業がソフトウェアプロジェクトをGPLv3に基づくものとGPLv2に基づくものに分けることを余儀なくさせるためだ。
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