UPDATE Yahooは米国時間4月30日、オンラインディスプレイ広告のリアルタイムな取引所を運営するRight Media(本社:ニューヨーク)を買収することを明らかにした。同社は買収により、ネット広告市場での取り組みを拡大する意向。
買収総額は約6億8000万ドル相当。YahooはRight Media株式の80%を、半分は現金、残り半分はYahoo株式で取得する。Yahooは10月、4500万ドルの調達を目指したRight Mediaの調達ラウンド(シリーズB)で、同社株の20%をすでに取得していた。買収は、第2もしくは第3四半期に完了の見通し。
2003年創業のRight Mediaは、自動ネット広告取引所を2006年に開設した。ここでは料金の設定と手数料の徴収を行う広告ネットワークや代理店が介入せず、各ウェブサイトがオークションに参加し、最も高い入札者がディスプレイ広告スペースを落札する。Right Mediaは、取引所の運営業者として各トランザクションの約7%の手数料を受け取っていた。
Yahooが今回の買収を発表する約2週間前には、Googleがネット広告企業DoubleClickを31億ドルで買収することを明らかにした。DoubleClickは独自のネット広告取引所を開設することを4月に入り明らかにしている。Googleが検索広告分野のリーダーであることに議論の余地はないが、ディスプレイ広告の分野ではYahooの後塵を拝していた。YahooのRight Media買収は、両社がそろってネット広告取引所を保有することも意味する。
Yahooの幹部らは、Right Media Exchangeの利点として、一定の存在感がすでに確立している点や、オープンで誰もが参加でき、料金設定に透明性がある点などを挙げている。Yahooの最高経営責任者(CEO)Terry Semel氏はインタビューで、今回の買収は、GoogleのDoubleClick買収に対抗したものではないと述べている。
Yahooが2006年にRight Mediaに投資した目的について、「ビジネスモデルと市場の受容性を評価したいと思った。またRight Mediaのこと、そして同社の仕組みについて学びたかった。Right Mediaの取引所で販売されていた在庫が、ほかのどの手法をも上回る成果をあげていたことが分かった」とSemel氏はいう。Yahooは今後、Right Media Exchangeでの広告の売買を増やす意向だ。
Semel氏は、Right MediaがYahooが展開する広告ビジネスの3つ目の柱になると述べる。Yahooでは、1つ目の柱としてウェブパブリッシャーのネットワークを、そして2つ目の柱としてそのほかの広告関連の提携を位置づけている。2つ目の柱に含まれるのが、260社以上の新聞社で構成される業界団体と提携や、eBayが立ち上げたケーブルテレビ広告用マーケットプレイスのパイロット試験への参加などだ。
パブリッシャーは今後、Right Mediaを仕組みを利用して自社広告を販売したり、Yahooの在庫や取引所の在庫とバンドルさせたりすることが可能になると、Yahooは考える。Yahooの最高財務責任者(CFO)で広告ビジネスの責任者も務めるSusan Decker氏は電話会議で、約1000社のサイトが定期的にRight Mediaを利用していると述べた。Decker氏はさらに「Right MediaとYahooの組み合わせは、膨大な広告の在庫を扱う、流動性の高い市場を実現するだろう」としている。同氏によれば、この取引所でビデオやモバイルの広告を扱うのが今後の目標だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」