【開発者インタビュー】日立/Wooo--“映像ポケット”がもたらす新テレビライフ - (page 4)

インタビュー・文:増田和夫 写真:津島隆雄2007年05月11日 11時34分

動画へのこだわりをさらに進化させた


--今回のWoooシリーズは、50V型モデルなどでフルHDパネルを採用していますが、フルHD対応にあたってこだわった点とは?

内藤 弊社のプラズマパネルが採用しているALIS方式には、画面が明るくて高解像度化しやすいという特徴があります。このメリットを活かして昨年のWoooシリーズでは、縦の解像度をハイビジョンと同じ1080ドットに高解像度化しています。

 今回の50V型プラズマモデル「Wooo P50-XR01」では、横の解像度を従来の1280ドットからハイビジョンと同じ1920ドットに引き上げて、フルHD化を実現しました。また、37V型液晶モデル「Wooo L37-XR01」では、フルHDのIPSα液晶パネルを採用しています。液晶テレビの分野では、倍速120コマ変換や黒挿入といった動画解像度の補正技術が今年のトレンドといわれていますが、IPSα液晶は昨年の段階でこれら動画補正のすべてに対応していて、IPS方式ならではの広視野角も実現しています。

 また、プラズマと液晶のフルHD化にともなって画作りも変えています。従来モデルでは、ハイビジョン信号を解像度変換するために、色や輪郭などを味付けする必要がありましたが、パネルがフルHDになるとハイビジョン本来の信号を映し出せるようになります。

 といっても、素のままでは素直すぎて眠い印象のシーンもあります。このため、作り過ぎずに、なおかつフルHDらしい解像感を際立たせる画作りにこだわりました。

--動画へのこだわりという点では、フィルム素材の24コマをビデオの60コマへ変換してスムーズに動かす「なめらかシネマ」も興味深いですね。

内藤 今までの「2-3プルダウン」(映画放送のコマ数の補間)機能では動きのぎごちなさは払拭できない、動画に強いプラズマのメリットをさらに活かしたい、と以前から考えていました。

 ですから「なめらかシネマ」については基礎研究をしていたのですが、前後のコマの動きから、新しいコマを作るという高度な映像補間になるので、高速に処理できるLSIやメモリ、バス回路などが必須になります。こうした回路技術の進歩で今回初めて実用化に漕ぎ着けました。さまざまな動きのデータを蓄積することで今後も進化できると思います。

「なめらかシネマ」用のLSI

「なめらかシネマ」用のLSIはメイン基板とは異なる別基板に設けられている。メイン基板と別基板の2段構成だ


--「iVポケット」対応テレビの将来についてお聞かせください。

尾関 レコーダーによる録画文化は今後も続くと思いますが、その一方で、これからはテレビの一機能としてHDD録画が当然になると考えています。近い将来、ネットによる蓄積型のコンテンツ配信サービスが始まれば、TVにはアンテナ端子とともにネット端子の装備が当然になり、配信コンテンツを蓄積するHDDも必須の機能になるからです。

 こうしたコンテンツをレコーダー経由で見るよりも、録画できるテレビで見たほうが手軽だと思います。端的に言って、リモコンが増えるよりも一個のリモコンで使えたほうが楽でリーズナブルですし、リンク機能よりもテレビ内蔵で全部できた方がスマートでしょう。そうした意味で、録画機能付きのテレビは究極のスタイルだと考えています。

 また、HDDの大容量化と低価格化は今後も大きく進展すると予想できます。ですので、コンテンツを自由に出し入れできる「iVポケット」を備えたWoooを選ぶことは、将来的にも大きなユーザーメリットにつながると思います。

メイン基板

こちらがメイン基板。録画データをハイビジョンのままトランスレートするXCodeHDのLSI①、iVDR-Sの暗号化処理も行う独自開発のHDD制御回路②、内蔵と外付け用のHDD端子③、アナログ系の入力回路④、HDMI端子⑤などを備える。

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