【開発者インタビュー】日立/Wooo--“映像ポケット”がもたらす新テレビライフ - (page 2)

インタビュー・文:増田和夫 写真:津島隆雄2007年05月11日 11時34分

「iVポケット」採用で他の録画メディアにない
アドバンテージを実現


--リムーバブルHDDだけでなく、内蔵の固定HDDまでiVDR-S規格に対応しているとのことですが、これにはどのような意味があるのでしょう?

内藤 iVDRの規格には「iVDR-S Built-in」という内蔵固定型のHDDも定められていて、今回のWoooはこの内蔵3.5インチHDDを搭載しています。また、リムーバブルHDDと内蔵HDDともに著作権保護機能「SAFIA(サファイア)」に対応させています。こうしたのは、コピーワンス番組のHDD間ムーブを実現したかったからです。SAFIA対応のHDD間ではコピーワンスタイトルのムーブが何度でも可能です。

内藤 康 氏 株式会社日立製作所
コンシューマ事業グループ
デジタルコンシューマ
事業部 開発センタ
デジタルシステム開発部 主任技師 内藤 康 氏

--iVDR-Sへの記録形式は? また、技術的にiVDR-S対応で苦心した点とは?

内藤 iVDR-Sの記録フォーマットはUDF(Universal Disk Format)で、録画形式はMPEG-2 TSになります。XP以下の録画モードもMPEG-2 TSを採用しています。

 iVDR-Sの録画データは、著作権保護のために暗号化されており、これを鍵で開けることで再生が可能になるのですが、プロテクトが厳密で時間単位に異なる鍵を使うために、逆転再生やサーチなどのトリックプレイでは、暗号解除の処理が重くなります。

 スムーズな再生と高速なムーブを実現するために、これらセキュリティ処理用のLSIを作るなど高速化対応に苦心しました。また、汎用規格として互換性の確保にも万全を期しています。

iVDR

iVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)はiVDRコンソーシアムによって策定されたリムーバブル(着脱可能)/内蔵型のHDD規格。デジタルコンテンツの著作権保護技術「SAFIA(Security Architecture For Intelligent Attachment device)」の採用により、デジタル放送録画対応のiVDR-S(Secure)が規格化されている。このほか、2.5インチHDD搭載のiVDR-S標準カセット、1.8インチHDDを搭載したiVDR-S Mini、1インチHDDを想定したiVDR-S Microに分類できる


EPG予約画面 EPGで録画番組を選ぶと、この予約画面になる。録画先として内蔵HDD、iVDRカセット、外部アナログ機器が選べるほか、録画モードや保存先フォルダー指定もできる。毎回予約も可能になった

--フルHD録画が行えるディスクメディアというとBlu-rayが有力視されていますが、これに対するiVDR-Sのメリットとは?

内藤 「スターウォーズ」のようにシリーズものの映画は3話以上という作品が意外に多くて、これら全話を1個のiVDR-Sカセットに収め、自在にアクセスして見られるのがBlu-rayには真似のできない技だと思います。


ダビングメニュー画面 ダビングメニュー画面。ダビング(ムーブ)先としてiVDR-Sカセットのほか、同じHDDを指定してレート変換ムーブも可能。ダビング画質モードの指定もでき、TSEモードではXCodeHD回路を使ってハイビジョン画質のままデータを再圧縮できる

 Blu-rayドライブへのハイビジョン番組のムーブ速度は現状で約2倍速(BSデジタル放送比)ですが、内蔵iVDR-SとリムーバブルiVDR-S間ではTSモード録画でBSデジタル放送が約4倍速、地上デジタル放送が約6倍速、トランスレートしたTSEモードだと約9倍速で高速ムーブが可能です。

 またコピーワンス番組を一度Blu-rayに記録してしまうと二度とムーブできなくなりますが、先ほど申しましたようにiVDR-Sでは、リムーバブルと内蔵HDD間で何度でもムーブができます。また同じHDD内でレート変換ムーブも可能で、HDDの空き容量を作れます。

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