「ここで注目すべきは、オンラインメディア購入用ダッシュボードを特徴とする時代にわれわれは移行しつつあり、このダッシュボードが複数のメディアを追跡する機能を組み込みはじめたことだ」と、コンサルティング企業Sterling Market Intelligenceで主席アナリストを務めるGreg Sterling氏は分析する。「皮肉なのは、ブランド広告主が既存メディアからインターネットへと広告の場を移行しはじめていることだ。それと同時に、Googleは既存メディアにリーチして、既存メディアの在庫リストを自社のサービスに組み込もうとしている」(Sterling氏)
Googleの新聞広告実験に参加したオンライン株取引のE*Tradeでは、Google TV Adsも試してみる計画という。同社で最高マーケティング責任者を務めるNicholas Hutton氏は、「業界はリアルタイムレポート機能のようなものを求めてきた。これがトータルなデジタル化への移行という動きを促進するとよいのだが」と述べている。
しかし、そのHutton氏ですら、最後にはケーブル企業がこの動きに参加することを期待している。「われわれの望みは、Time WarnerやComcastといった主要なケーブル企業が参加することだ。これはGoogleの望みでもあるだろう」(Hutton氏)
花とギフトの販売業者1-800-Flowers.comは、これまでGoogleを通じて新聞広告を販売してきた。しかし、同社のオフライン広告事業の担当者であるSteven Jarmon氏によると、現在同社は、Google TV AdsとGoogle Radio Adsの両プログラムを通じて広告を販売するための契約締結に向けて動いているという。Jarmon氏は、「われわれは、オークション形式で価格を決定するというアイデアが気に入っている。それにより、われわれも柔軟な対応が可能になる」と述べ、さらに次のように語った。「われわれは、事実上、リアルタイムで(広告効果を)報告するというアイデアも気に入っている。(広告効果が)測定可能であり、(広告主に対する)説明義務も果たせることから、われわれの(広告購入)システムの効率も向上する」
Googleの活字広告分野への進出は、これまでのところ成功例もあれば失敗例もある状況であり、またラジオ広告事業でもつまずいていることから、同社のテレビ広告事業の先行きは不透明だ。Googleは2005年に試験的に雑誌広告を販売したが、広告主不足で失敗に終わった。しかし、同社が2006年末に開始した、新聞60紙以上に掲載する広告を販売する試験プロジェクトは、広告を掲載する新聞の数も増え、売り上げも好調のようだ。
一方Googleは、ラジオ広告会社dMarcから取得した技術を使って、ラジオ広告業界にも進出したが、こちらは波乱のスタートとなった。その最大の理由は、ラジオ放送局が、オークションによって広告スペースが日用品化し、広告料金の低下を招くことを恐れたためだ。一方、Googleが2005年に出願した特許は、同社が屋外のディスプレイ広告や大型の看板広告分野への進出も狙っていることを示唆している。
またGoogleはDISHの他に、英国の衛星放送会社British Sky Broadcastingにも検索、広告、ビデオの各機能を提供している。
Googleはテレビ広告事業に対して本気のようだ。同社は、NBC Universalの戦略的ベンチャー担当ゼネラルマネジャーのMichael Steib氏を引き抜き、同社のテレビ広告販売事業の責任者に据えた。また2006年夏には、双方向テレビ会社OpenTVの最高技術責任者(CTO)を務めるVincent Dureau氏をシニアエンジニアとして招いた。Dureau氏の退社を発表した際のOpenTVのプレスリリースには次のように書かれている。「Vincentは、現在、世界で最も優れたセットトップボックスミドルウェアの設計で重要な役割を果たした」
Hanlon氏は、「最大の疑問は、Googleはマルチメディア広告仲介業者になれるのかという点だ」と述べ、さらに次のように続けた。「現時点では、全く未知数だ。Googleに人的資源、資金、必要な手段が揃っていることは間違いないが、AdSense広告の販売手法とテレビ広告の販売手法は全く異なる」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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