グーグル、テレビ広告ビジネスに参入--EchoStar Satelliteと提携 - (page 2)

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年04月03日 10時40分

 RBC Capital MarketsのアナリストDavid Bank氏は「わたしにとって(DISH Networkとの提携は)、Googleがケーブルテレビ事業者と提携したと言われるほど、興味深く思えない」と述べる。「結局のところ、セットトップボックスに保存されたターゲット広告の中から、関連性の高い広告が呼び出されることになる。(ケーブルテレビなら)ダイレクトなインタラクションを展開することが可能だ。今回の提携がテレビ広告市場の勢力図を塗り替えることにはならないだろう。ただ、今後への影響力をある程度は持つと思うので、注意深く動向を見守りたい」(Bank氏)

 広告代理店Publicis Groupe傘下のコンサルティング会社Denuoでシニアバイスプレジデントを務めるTim Hanlon氏は「こうした取り組みは、まずケーブルテレビで始めるべきだ。現時点では、ケーブルテレビ放送の方が、衛星テレビ放送よりもターゲッティング広告に向いている」と述べる。

 GoogleのDesai氏は、同社が複数のケーブル事業者と交渉中だとしているが、詳細なコメントは控えている。「このモデルとプロダクトはテレビの広告枠を持つところなら、どことでもうまく機能する。具体的にはネットワーク事業者、衛星事業者、ケーブル事業者との提携が考えられる」(Desai氏)

 GoogleがComcastと交渉中だという報道もあるが、この件に関する情報はGoogleから出てこない。eBay Media Marketplaceさえも、ケーブルテレビ事業者の協力が得られないため、サービスの立ち上げや運営が難航している。eBay Media MarketplaceはeBayが立ち上げたケーブルテレビ広告のマーケットプレイスで、MicrosoftやHewlett-Packardなどが支援している。放送ネットワークや広告代理店は、こうしたシステムの下で、広告スケジューリングや価格設定に対するコントロールを失ってしまうのではないかと、恐れているからである。もっとも、Googleの取り組みは、広告販売モデルとしてすでに成功しているAdWordsのプラットフォームが用いられるため、従来の取り組みよりもうまくゆく可能性もある。

 EchoStarとの提携でGoogleは、自社のオンラインプラットフォームを衛星テレビ事業者の中継局と連携させることになるとDesai氏は述べる。広告は放送事業者側のサーバによって番組に挿入される。広告主は、広告のインプレッション数に基づいた料金を支払う。通常のテレビコマーシャルと同様、視聴者が実際にテレビのある部屋から離れずに、広告を見ていたかどうかを確認する方法はない。

 広告の制作は現在、広告主が行っているが、Desai氏によると、Googleでは、広告を制作した経験のない広告主と代理店を結びつけるマーケットプレイスの提供も計画している。Googleは同様のサービスをラジオ広告システム「Google Audio Ads」でも提供している。

 DISH Networkにとって、テレビ広告の購入、販売、配信、効果測定を自動化するシステムの利用はGoogle TV Adsが初めて。EchoStarの広告担当バイスプレジデントMichael Kelly氏によると、NielsenがDISH Networkと契約する1310万世帯を対象に視聴状況を調査するのに対し、Googleのシステムはすべての契約世帯を対象にするという。

 「販売する広告枠が増加するとは思っていないが、ターゲット広告の売り上げは増えるだろう」とKelly氏は言う。「視聴状況を調査する対象が、これまでの数千万世帯から大幅に増えることになる。この結果、ターゲット視聴者をさらに絞り込むことができ、予想されるレスポンス率は大きく改善するだろう」(Kelly氏)

 2006年、Googleのターゲットオンライン広告は106億ドルのビジネスとなった。Googleはまた、自社の自動オンライン入札システムがこれまでの効率の悪い広告市場を変えるとして、オフライン広告へのプッシュも強めてきた。ここではラジオ、新聞、雑誌などが対象となり、そして今回のTVとなった。

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