Dellは米国時間3月29日、同社の会計問題に関する社内調査から「不正行為があったことを示す証拠」が見つかったことを明らかにした。このため同社の通期決算報告は延期されるという。
Dellの会計処理については米国証券取引委員会(SEC)もここ数年間調査中であり、同社の売上高と引当金の計上方法などに問題がないか調べている。この問題により、過去にさかのぼって四半期決算の修正が必要になる可能性もあるため、Dellは暫定的な決算報告のみを発表し、経済アナリストやメディアとの電話会議を中止している。
Dellはプレスリリースで、「監査委員会の調査により、会計上の誤り、不正行為があったことを示す証拠、および財政管理体制における問題がいくつか発見された」と発表した。ここ数年間Dellの財務を管理してきた前最高経営責任者(CEO)のKevin Rollins氏と前最高財務責任者(CFO)のJim Schneider氏は、両者ともこの数カ月の間に離職している。
Dell関係者は、プレスリリースで発表した内容以上のことはコメントできないと述べた。
継続中の調査は、自ら創業した会社のCEOに復帰して以来、巻き返しを図ってきたMichael Dell氏の計画を大きく脅かすものである。顧客サービスの低下から市場シェアの損失までさまざまな問題を修復しようと、Dellでは複数の新しい幹部が登用されたばかりであった。
具体的にどのような会計処理が調査の対象となっているのかは明らかではない。Dellは2006年9月、「見越し勘定や引当金をはじめとする貸借対照表の科目」の計上に誤りがある可能性があると述べていた。見越し勘定とは、未払費用や未収収益など、企業がまだ現金を支払ったり受け取ったりしていないお金があることを指す。これには、ブランドなどのように有形の価値を持たない資産に企業が数値的な価値を計上する営業権(goodwill)なども含まれる。
アナリスト企業であるFriedman Billings Ramseyは2006年、保証サービスの売り上げと、保証に関する請求が生じた場合に備えるための引当金を計上する際に「特殊な」方法を使用しているとして、Dellの保証関連の科目の計上方法を批判した。Dellは、正式な声明やSECへの提出文書において、保証引当金の問題については特に言及していない。
Dellは当初4月3日までに年次決算報告を提出する予定であったが、その延長期限である4月18日にも提出することができないという。また同社は、3月29日付けで、SECに報告書を提出するまで幹部や役員による同社株の売買を停止すると述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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