SAPの次期CEO候補として急速な勢いで頭角を現していたShai Agassi氏が、同社を去り、話題の代替エネルギー分野に取り組んでいく決断を下した。
エンタープライズソフトウェアベンダー世界最大手のSAPは米国時間3月28日、プロダクト&テクノロジーグループのプレジデントを務めてきたAgassi氏が4月1日付けでSAPを去ることを発表した。また同社は、マーケティング部門を率いるLeo Apotheker氏がただちに最高経営責任者代理(Deputy CEO)に就任すること、および、エグゼクティブカウンシルの体系を4月1日付けで刷新することも発表した。
SAPの創業者で、現在は監査役会長を務めるHasso Plattner氏は声明で「Shai氏の退職は残念だが、これまでSAPでさまざまな業績を残してくれたことに感謝している。Shai氏はSAPのプラットフォーム戦略を成功に導いたほか、改革を指揮することでSAPの成長と市場におけるリーダーシップの維持を促進した。またビジネスソフトウェアの将来像を描くための基礎作りをしてきた」と述べる。
SAPにおける過去2カ月間の動きをみると、Agassi氏の退職は驚くに値する。
SAPに比較的最近入社したAgassi氏は、現CEOであるHenning Kagermann氏の後継候補と目されてきた。なおSAPの監査役会は2月、2007年末に切れることになっていたKagermann氏との契約を2009年5月まで延長することを決定している。
CEOの選定に影響力をもつ複数の情報筋は、Kagermann氏との契約延長が決定したことにより、Agassi氏にはテクノロジ計画で結果を残す時間的猶予が与えられたと考えていた。というのも、Agassi氏は、Kagermann氏の後継者という座をApotheker氏と激しく争っていたからだ。ここ数カ月間は、SAPの幹部を長く務め、より多くの分野の仕事を任されてきた実績が買われ、Apotheker氏の方が優位に立っていたと、情報筋は述べる。
Kagermann氏との契約延長は、より早い時期にCEOに就任したいと考えていたAgassi氏にとって、受け入れられないものだったと、Plattner氏は述べている。
4年前にSAPの新技術開発の任をAgassi氏に委ねたPlattner氏は、Agassi氏にはKagermann氏の後継者としてCEOに就任して欲しいと考えていたことに言及した。
Plattner氏は、「わたしは、Henning Kagermann氏の後継者として当然SAPのCEOになるべきとの考えをShai(Agassi氏)に明かしていた。Henningの契約が2009年まで延長されたことで、10〜15年もの間自分のキャリアプランと異なる仕事に専念することはShaiには満足できなかったようだ。これを受け、わたしは監査役会に計画の変更とSAP経営陣の見直しを勧告した」と語っている。
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