メディア複合企業Viacomは米国時間3月22日、同社傘下局が放映する番組のパロディ映像を著作権侵害として削除するようYouTubeに強要した件で、米著作権法を誤用していると訴えられた。
問題の映像は、Viacom傘下の「Comedy Central」が放映する番組「The Colbert Report」のパロディ。
電子フロンティア財団(EFF)がサンフランシスコにある連邦裁判所に提出した訴状によると、Viacomが著作権侵害としてYouTubeに提出した削除要求には根拠がなく、映像制作者に与えられた言論の自由を侵害しているという。同映像は、活動家団体MoveOn.org Civic ActionとBrave New Filmsが制作していた。
「Stop the Falsiness」という題名のパロディ映像は、「The Colbert Report」の一部を流用している。EFFによると、この流用は、「The Colbert Report」自身が実際のニュース番組を部分的に流用するのと同じ手法であり、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の「公正使用」に関する条項が許容する範囲内にあるという。
EFFの弁護士であるCorynne McSherry氏は、「このクリップを10秒間視聴すれば、これがパロディであり、公正使用であることは明らかである」と述べた。同団体は、スタンフォード大学インターネット社会センターとともに今回の訴訟に取り組んでいる。
DMCAの下では、Google傘下のYouTubeのようなサービスプロバイダーは、コンテンツ所有者からの削除要請に迅速に対応すれば、著作権訴訟を免れることができる。
今回の訴訟では、損害賠償と弁護士費用を請求するとともに、映像をYouTubeに再掲載するための命令も要求している。McSherry氏によると、EFFはYouTubeに対しても、Viacomの削除要請は違法であるとする通知を送付しており、YouTubeが同意すればビデオは10日以内にサイトに再掲載される可能性があるという。
Viacomの広報担当者はこの件についてコメントを避けている。
McSherry氏によると、MoveOn.org Civic Actionは2006年8月に映像をYouTubeに投稿したが、同サイトから削除されたという通知を2週間ほど前に受けたという。
Viacomは、自社のコンテンツをYouTubeから削除させようと積極的に動いており、2007年2月にはビデオクリップ10万件について削除要請を送付し、先週にはGoogleおよびYouTubeを相手に著作権侵害として10億ドルの賠償を求める訴訟を起こしていた。
DMCAに関する別の訴訟においてEFFは最近、ブロガーMichael Crook氏を訴えて勝訴している。この件でEFFは、Crook氏だと認識可能なテレビニュース出演時の画像を掲載したウェブサイトに画像の削除を求めた同氏を訴えていた。映像に関する著作権を所有しているViacomの件とは異なり、Crook氏は自分が映っている映像の著作権を所有していなかった、とMcSherry氏は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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