Yahooが、社内弁護士の1人を幹部職に昇進することを決定した。この人事により、ウェブ検索業界で第2位の座を占める同社に、クリック詐欺対策専任の幹部が誕生する。
Yahooは、クリック詐欺が原因でペイパークリック方式の広告料を過剰請求されたと主張する広告主からの訴訟を抱えている。今回幹部職に任命されるReggie Davis氏は、7年間にわたりこうした訴訟で同社の弁護を務めてきた人物だ。クリック詐欺とは、広告が表示されているウェブサイトの広告収入を増加させることを主な目的として、人手や自動ソフトウェアを使ってクリック広告を繰り返し押す行為を指す。
今回、同社で初となるマーケットプレース品質管理担当のバイスプレジデント職に任命されることになったDavis氏は、クリック詐欺を減らし、Yahooのディスプレイ型広告や検索キーワード連動広告について、広告主および発行元の満足度を確実に向上させることを任務とする。
米国時間3月22日に予定されている同社からの発表に先立ち、21日の取材でDavis氏はこう述べている。「わたしが受けた指令は(中略)広告主の信頼を向上させる、というものだ。目標は現実とイメージの両方において、(広告)ネットワークの質を最大に高めることだ」(Davis氏)
大手検索エンジンは、長い間クリック詐欺に悩まされてきたが、これまではこの問題がどの程度深刻なのか、その実態を明らかにしてこなかった。しかしGoogleとYahooは徐々にではあるが問題を公開するようになっており、広告主向けに提供されるクリック詐欺防止ツールも増えている。両社はクリック詐欺の発生率を明かしていない。
ただし、何らかの理由で問題があるとみなされ、広告主へ広告料が請求されなかったクリックの比率、いわゆる「廃棄率」はYahooの場合、平均して12%から15%の間だと、Davis氏は語っている。広告主に課金させるためだけに発生する詐欺的なクリック数の比率は、全体の廃棄率の「一部分」だという。
Googleでは廃棄率が10%以下であると説明しており、クリック詐欺の比率は一けた1けた台、つまり9%かそれ以下だとしている。一方、クリック詐欺対策サービスを提供し、広告主や代理店の「Click Fraud Index」調査を行っているClick Forensicsでは、大手検索エンジンのクリック詐欺比率を12%弱と判定している。
Click Forensics社長のTom Cuthbert氏は、Yahooが広告システムの品質管理に特化した幹部職を創設することについて、Yahooがクリック詐欺問題に真剣に取り組む姿勢を表すものだと評した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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