Intelは同社製造工場の中国進出をまもなく発表する予定だという。複数の報道機関が報道している。
The Wall Street Journal誌やFinancial Times誌など複数の報道機関が米国時間3月13日、中国の国家発展改革委員会(National Development and Reform Commission)のウェブサイトに掲載された内容を引用し、Intelと中国政府は、Intelが25億ドルの資金を投じて中国北東部の港町である大連にチップ製造工場を建設することで合意に達したと報じている。Intel関係者は、同社はそのような発表をしていないとしてコメントを避けた。報じられたサイトの掲載内容は、同サイトの英語版では見つけることができなかった。
Intelは4月中旬に北京で開催されるIntel Developer Forum(IDF)に向けて準備に取りかかるため、これから数週間の間に発表される可能性もある。この報道が事実であれば、この新工場は中国におけるIntelおよび米国チップ業界のマイルストーンとなる。
Intelは現在、上海の浦東新区と中国南西部の成都に組み立ておよび試験工場を持つが、これらの施設では単に別の工場で製造されたプロセッサの試験、組み立て、最終的なパッケージングをしているだけである。報道によると、新施設では、300mmウエハ上に90ナノメートルプロセスのプロセッサを製造することになるという。これはIntelの現行の65ナノメートル製造技術に取って代わられた前世代の技術である。
Intelがチップ製造工場を中国に移行するのではないかということは、数年前から噂されていた。その障害となっているのは、中国などの国が軍事目的で高度技術を取得することを防止するために制定され、数カ国が加盟するワッセナー・アレンジメントによる輸出規制である。この輸出規制では、米国から対象国に持ち込み可能な装置の種類に制約を設けており、ワッセナー・アレンジメントのウェブサイト上の規制装置リストによると、現時点で180ナノメートル未満の製品を製造するリソグラフィー装置は禁止するように改正されている。
実際には、企業が対象国内に持ち込む技術がその企業の最新かつ最高の技術でなければ、輸出許可が得られる。業界団体Semiconductor Equipment and Materials Institute (SEMI)によると、輸出許可は、ライセンス所有者の輸出コンプライアンス履歴、その技術の明確な最終使用目的、関連する技術レベルなど、さまざまな要因に基づいて承認されるという。
つい最近である2004年まで、Intelの会長であるCraig Barrett氏は、中国におけるファブ建設に関して非常に悲観的な見方をしていた。Barrett氏はサンノゼで開催されたイベントにおいて、「300mmウエハによる90nm製造プロセスに対応したファブを中国に建設したいと言えば、米国政府は『絶対にダメだ』と言うだろう。米国輸出規制および規定は、米国企業が中国で競合他社と競争することを支援してくれない」と述べたと報じられていた。
しかしIntelはこれを目指して準備していたようだ。ただし2004年には最先端設備であったこうした工場は、今ではそうでもなくなってしまった。
この新工場が稼働を開始するころには、90ナノメートル製造技術は、Intelの45ナノメートルという最新技術から2世代前の技術になっているだろう。チップメーカーは、最新鋭の製品には最新設計技術を利用するが、チップセットやローエンドのプロセッサは旧式の製造技術を用いて製造する傾向にある。
中国では既に国内の半導体製造会社であるSemiconductor Manufacturing International(SMIC)が、90ナノメートルプロセスのチップを顧客向けに製造している。しかしSMICは、同社の90ナノメートル技術をロジック開発に利用するためにQimondaの支援を得ていた。Qimondaは、Infineonの半導体メモリ部門からスピンアウトしたメモリーメーカー。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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