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ゲーム内広告はオンラインゲーム事業にとって両刃の剣 - (page 2)

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TBSと組んでビジネスチャンスを拡大

 このようにビジネスの根幹をも揺さぶるリスクのあるゲーム内広告だが、それでも両社は共にこの広告手法に注目し、すでにさまざまな試みを展開している。ジークレストは2月1日に、アットゲームズ内の仮想世界で企業のプロモーション支援サービスを開始すると発表した。

 このサービスで、同社が行ったプロモーションの事例として、東京放送(TBS)と組んだ「きらきら研修医」が挙げられる。きらきら研修医は、織田うさこ氏の原作で、TBS系列放映の連続ドラマとして女優の小西真奈美さんが大学卒業後の研修医の成長していく姿を演じた。

 ジークレストはアットゲームズ内に「きらきら村」という、病院を建てた専用フィールドを用意し、きらきら研修医のキャラクターを作成。さらにキャラクターに関連したアバターも販売した。リアルのプロモーションをバーチャル的に実施する広告手法である「インゲームズプロモーション」を両社で協力して展開したのだ。

 この成果についてジークレストの末光氏は「アバター販売の初速は速かったですね。キャラクターのお面をかぶって歩いているアバターが結構いました(笑)」と満足している。

 そして、この動きは波及した。プロモーションで作成されたキャラクターはコンソール型ゲームへの展開が決定し、PlayStation 2の廉価ソフトである「シンプル2000シリーズ」のキャラクターとして移植され、「THE ルームシェアという生活」というタイトルで3月29日に発売される予定だ。さらに、アットゲームズ内で「このタイトルのゲーム内広告を現在企画中です」(末光氏)と言う。

ジークレスト 末光氏 ジークレスト 執行役員ポータル事業部長の末光晴人氏

 TBSと組んだプロモーションは実験的な意味合いが強かったが、このように既存のビジネスモデルをさらに広げていけるような成果が得られた。そのため、ゲーム内広告から得られる今後の収益について末光氏は期待を寄せる。「会員数や展開するプロモーションの形によって、ゲーム内広告からの収益の規模は変わると思います。現行のアットゲームズのままなら全体の1割がいいところでしょう。ただし、アイテムやアバターの売上増に間接的に貢献する可能性も高いです。ゲーム内広告を前提としたビジネスモデルを組めば、全体の3〜4割を占めるまでに成長させられると考えています」(末光氏)

リアル店舗と組んで売り上げが5倍に

 CJインターネットもインゲームスプロモーションを展開した例がある。2006年の前半にサークルKサンクスと共同でプロモーションを展開した。サークルKサンクス関連のアイテムを野菜村(ネットマーブル内で展開されているオンラインゲーム)に登場させ、例えばコンビニ店員の制服をアバターの服として販売するといったことに取り組んだ。

 沈氏は、「リアル店舗で利用できる通し番号を振ったクーポン券をゲーム内で発行し、リアル店舗でどれだけ使われたかを計測できるようにしました。ユーザーには好意的に受け取ってもらえたようで、このイベントによる売り上げは通常の5倍以上もありました」と振り返った。バーチャルとリアルの双方の世界で、購買の促進につながったかたちだ。

 CJインターネットは今後のゲーム内広告から得られうる収益について「日本では全体の売り上げの約1割くらいを占めるにとどまるだろう」(沈氏)と見る。「ゲームをプレイしてもらって、その体験に対価をいただくゲーム運営会社」という理念に基づいているためで、あくまでもプロモーションが主ではなく、「ゲームを楽しんでもらうことが主だということを忘れてはいけない」(沈氏)とし、現在はゲームラインアップ増強のため、ゲームの開発を優先している。

 ただし、これは同社がゲーム内広告の展開に後ろ向きだからというわけではない。むしろ逆だ。同社ではコンバージョンレートなど、効果測定のレポートが出せるシステムを組んでおり、ゲーム内広告が敬遠される原因のひとつである「広告の成果をきちんと数値で把握できるような事例が少なすぎる」という点を解消しようと動いている。沈氏は、「現在クライアントさんと事例を作っていこうと、前向きに話を進めています」としている。

 この2社の事例からもわかるように、ゲームの事業者は慎重ながらもゲーム内広告については大きな期待を持っている。それは、単純に広告を新たな収益源としてみているだけでなく、相乗効果を発揮して既存の課金ビジネスを拡大させる可能性を実感しているからだ。

 しかし、その場合に重要なのはあくまでも「ゲームを楽しむ」という視点からずれないことで、ユーザーに自然と受け止めてもらえる方法やアイデアを生み出さなければならないことだ。事業者にとってゲーム内広告は両刃の剣なのだ。

 ジークレストの末光氏は、ゲーム内広告の将来について「非常に大きい可能性があると思っています。滞在時間が長く、やり方次第で自然に入ってくる感じがある。現在10社ほどゲーム内広告についての問い合わせが来ています。ただし、これらすべてを受け入れるわけではなく、ゲームの世界観に合う内容で展開できそうな会社さんとパートナーシップを組むことが大切になってくると考えています」と語った。

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