この記事はAlex Iskoldが執筆し、Richard MacManusが編集した。
ある日、わたしと妻は、オンラインでの買い物と店頭でする買い物の違いについて書店で話していた。値段を簡単に比べられる機能やすぐに他の店へ行けるところはオンラインの方が優れているが、わたしたちはそういうことについては話していなかった。むしろ、基本的な質的経験、例えば本を手にとってページをめくってみるといったことについて話していたのだ。2人とも、この物理的な経験には、AjaxやPDFでは代え難い特別なものがあると感じていた。
このことは、少なくともわたしたちのようにまず物理世界を経験してからデジタル世界に接した人は感じることに違いない。しかし、今のような何もかもをコンピュータに押し込もうとする世の中の流れの中では、物理的に本を買う経験をしたことのない世代が出てくるのも時間の問題だということも、2人の共通の意見だった。現在、わたしたちは物理世界で親しんだものから着想を得てオンラインに持ち込んでいるものを多く見かける。今回の記事では、いくつかの試みを例にとって、何がうまく行き、何がうまくいかないのかを考えてみることにしよう。
(Iskoldによる注:Nine Onlineマガジンの2007年2月9日現在の最新版では、Alex Iskoldの所有するウェブサイトであるAdaptive Blueとsocialmeterに簡単に言及している)
サンプルとして最初に取り上げるのは、最近始まったNovologicのNine Onlineマガジンだ。この小さな出版物は、PRの専門家に新しいソーシャルメディアを理解してもらうことをねらいとしている。このサイトはAdobe Flashで作られており、伝統的な雑誌の要素と革新的なデジタルソリューションが組み合わされて目立った効果を上げている。実際、形といいページをめくる機能といい、雑誌のように見える。普通ならわたしはこの類のものはつまらないものだと片付けてしまうことが多いのだが、こうした作り込みによって、思わずクリックしてしまう仕上がりになっている。
Nine Onlineは、静的なコンテンツと対話式のコンテンツの絶妙な組み合わせを実現している。記事は普通の雑誌でも見かけるようなものだが、対話式のビデオやオンラインクイズなどが加えられている。物理世界の要素を使っていることも良い点だが、実際にいちばん印象的なのは、デジタル世界でだけ可能な対話的要素が自然かつ直感的な形で埋め込まれていることだ。
(MacManusによる注:類似のものとして、Avantoureを挙げておく。この雑誌については、本サイトで2006年12月に記事を掲載している)
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