Cisco Systemsは米国時間2月21日、XML形式のインターネットトラフィックのルーティング機器を製造する小規模企業であるReactivityを現金とストックオプションで買収すると発表した。買収金額は1億3500万ドル相当。
Reactivityの機器は、ウェブドキュメントの標準であるXML(Extensible Markup Language)をベースにしたサービスを企業がより容易かつ迅速に展開できるようにするためのものである。カリフォルニア州レッドウッドに拠点を置くReactivityは、1998年に創立された従業員数56人の企業である。Ciscoによるとこの買収は、4月28日を期末とする同社の第3四半期中に完了するはずだという。
Ciscoは最大手のインフラ機器プロバイダーであり、さまざまな規模の企業に製品を提供している。同社の主力商品は従来、企業ネットワークや一般のインターネットにおけるインターネットトラフィックのやりとりに用いられるEthernetスイッチとIPルータであった。
しかしCiscoはここ数年、複数の分野で製品の品揃えを強化してきている。同社は2006年、ビデオやケーブルといったインフラ機器の提供による大規模サービスプロバイダーへの販売強化を目的として、Scientific-Atlantaを買収している。また同社は2003年にLinksysを買収し、家庭用ネットワーク市場にも参入している。さらに同社は今回の買収によって、企業顧客に「よりインテリジェントな」機器を販売することで、ウェブサービスビジネスを強化しようとしている。
Reactivityを買収したことでCiscoが手にするテクノロジや製品が、既存のApplication-Oriented Networking(AON)部門に合致することは明らかである。AONはCiscoの現在のネットワークハードウェア製品群をより洗練されたものとするための製品開発を行うために約2年前に設置された。AON製品は「アプリケーションアウァア」であるため、送信された情報を検査し、あらかじめ決められたポリシーに基づいてメッセージをルーティングすることができる。
Reactivityの製品は、ソフトウェアを組み合わせた特別なハードウェアであり、企業はこういったハードウェアを用いることでそのネットワーク上のXMLトラフィック量を分散、コントロール、増加させることができるようになる。Reactivityのウェブサイトによれば、「Reactivity XML Gateway」ソフトウェアはXMLベースのWebサービスのサポート、準備を新たに行おうとする企業を支援するものであり、「Reactivity XML Manager」ソフトウェアは企業が利用しているXMLサービスの可視化と分析をリアルタイムで行うものだという。
XMLアプライアンスの新興企業を買収しているのはCiscoだけではない。Ciscoのパートナー企業としての歴史が長いIBMも1年半前、企業によるXML Webサービスの展開と管理を支援する機器を製造するDataPowerという小規模の企業を買収している。また、コンピュータチップのメーカーであるIntelもこの市場に進出しており、2005年にServagaという企業を買収している。
XMLに特化したネットワーク機器が台頭してきた理由の1つとして、XMLやXMLベースのWebサービスプロトコルの利用が増えてきたという点が挙げられる。こういった規格は、システム間の相互運用性を向上させるために設計されているものの、XMLドキュメントの処理に起因するパフォーマンス上の問題を引き起こすことになる。専用のアプライアンスはこうした問題を緩和するように作られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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