ボストンの法律事務所Bromberg & Sunsteinで著作権および商標を専門としている弁護士のLee Bromberg氏は、「ベルギーの裁判所がGoogleが度を越しているとする裁定を下したことで、まずはコンテンツ所有者側が先手を取った。Googleは、著作権法に対してきわめて強引な姿勢を取っている。(中略)この判決は、Googleにそうした姿勢を見直すよう迫る深刻なメッセージだ」と語った。
Googleは、記事をキャッシュしたコピーを保管してコンテンツの一部を使用するのは素材の公正な使用範囲内の行為であり、著作権に抵触しないと主張しているが、裁判所はこれを否定した。また、Googleサイトに記事を使用されたくない新聞社は、コンテンツを除外するための負担を引き受けるべきという同社の意見も退けられている。
Bromberg氏はほかの欧州諸国がこうした判断に倣う可能性について、「欧州諸国が、ベルギーの裁判所が下した判決を道理にかなっているととらえる可能性は十分にある」と述べ、「欧州では米国ほど最新技術がもてはやされないようだと、わたしは認識している」と付け加えた。
カリフォルニア州パロアルトにあるGreenberg Traurigで弁護士として働くJohn P. Ward氏は、Googleにとって、欧州諸国が今回の判決を先例として扱うことを食い止めることは非常に難しいだろうと述べる。「欧州各国の裁判所がそれぞれ同様の立場を取れば、Googleのビジネスに多大な影響がおよぶのは間違いない」(Ward氏)
専門家は一様に、ベルギーの裁判所の裁定が米国における訴訟を左右することはないと口をそろえている。もっとも、Google Newsの著作権に関する違反でGoogleを訴えているAgence France-Presseの弁護士は、今回の判決に大いに関心を寄せるはずだと、サンタクララ大学法学部の助教授で、同大学のHigh Tech Law Instituteで所長を務めるEric Goldman氏は指摘した。「とはいえ、判事がそれを重視する可能性は低い」(Goldman氏)
以前は米国内著作権の登記人をしており、今はワシントンD.C.の法律事務所Dechertに在籍しているRalph Oman弁護士は、米国の著作権法は記事のキャッシュ化を認めていると話す。「米国では、Googleが提供しているキャッシュ化されたリンクを経由し、普段は新聞社が販売している記事のアーカイブに無料でアクセスできる」(Oman氏)
控訴審でも敗訴した場合、Googleは裁定に従ってベルギー版のGoogle Newsを作らねばならないと、Goldman氏は説明している。あるいは、今後の訴訟を避けるために、Google News全体の仕様を変更するという一歩踏み込んだ対策が採られる可能性もあると同氏は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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