ソフトウェアの突然変異:ミッシングリンクを予見する(後編) - (page 2)

文:John Milan 翻訳校正:吉井美有2007年02月06日 14時35分

 この会社は、各転写士の自宅をブロードバンドインターネット接続でつないで(従来の形のオフィスは持っていない)間接費負担を少なく抑え、職業意識の高い従業員と満足度の高い顧客を持っている。独自仕様のフォーマットや排他的な契約条件、ずるがしこいロックインなどは使わない方がよい。顧客をつなぎとめる最良の方法は、効率的なオンラインシステムと、人間のレベルでの信頼に基づいた双方向の関係を持つことだ。わたしの意見では、Web 2.0が約束するものは、オンラインで人々が社会的にあるいは経済的につながる方法を提供することだ。ある意味では、これは伝統的な医師が転写士と働き、仮想世界を再想像できる「サービス経済」を示すものだ。別の言い方をすれば、Web 2.0は「協働経済」あるいはピア労働とでもいうものをもたらす。

 例えば、プロジェクトの全てのメンバーは存在感を示すべきであり、社会的水準に見合う暮らしをし、オンライン環境で自己表現をするツールを持つべきだ。プロジェクト管理はアカデミズムに端を発し、資源割り当てや組織化、スケジューリングの技術的側面に特化している。しかし、ビジネス界に、プロジェクトで一緒に仕事をすること以上の社交的な出来事があるだろうか?現在のところ、人間は「資源」と呼ばれ、作業日はグラフのさまざまな長さの青い帯に要約されている。そして、人々はこれを嫌っている。Web 2.0の哲学は、この資源と青い帯を、人間と本当の生活に変化させるというものだ。これは人々の望む姿だ。

ミッシングリンク

 突然変異や進化にはミッシングリンクがつきものだ。しかしここでは、過去からそのリンクを見つけ出すのではなく、未来を予測することにしたい。今は、翻訳サービス「Babel Fish」のような、主要な目的がデータの海をクローリングし、翻訳とシステム間のデータ移転を行うことだけというようなアプリケーションが出てきている。現在のほとんどのソフトウェアは、インポートできるフォーマットは多くて書き出せるフォーマットは少ないが、選択肢が広がるにつれて交換性の低いものは淘汰されるだろう。

 ひょっとすると、FirefoxがマイクロフォーマットをサポートするというMozillaの発表は、ミッシングリンクの最初の兆候かもしれない。アプリケーションがマイクロフォーマットを利用するには特別な拡張が必要だろうから最初は少し不恰好になるかもしれないが、とにかくFirefoxは最初の一歩を踏み出した(このページのコメント7を参照されたい)。MozillaのAlex Faaborgは以下のように書いている。

 「マイクロフォーマットの難しさは、データのパージングではなく、このデータを取り込めるものであればどのプラットフォームのどのアプリケーションのAPIでも扱えなければならない点にある」
Mozzila 提供:Mozzila
Firefox 3は情報ブローカーとして機能する。

 Mozillaがこの問題を上手に、あるいは人間の力だけで解くことができ、データをアクセス可能にできれば、FirefoxはInternet Explorerに加えてOutlookのシェアも奪うかもしれない。これを次世代メールボックスと呼んでもいい。

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