「2007年はIntelの勢いを止める」--そんなAdvanced Micro Devices(AMD)の狙いが、形となって現れてきた。
長年にわたって争ってきたIntelとAMDだが、状況は少し変化している。Intelは、3年間の空白の後「Core 2 Duo」で再びPCファンの熱い歓迎を受けた。一方AMDは、価格競争の負担を強いられ続けた。米国時間1月23日、同社はその期待外れの利益について発表することになった。
AMDは、プロセッサイコールPCではないという主張によって、Intel製チップへの肯定的評価に対抗しようと計画している。NVIDIAや現在はAMDのグラフィックス部門となったATI Technologies(ATI)といった、グラフィックのエキスパートとの連携を強調して、Intelのグラフィック統合型チップの性能を攻撃するのだ。
この戦いの武器となるのはもちろん、小さくてカラフルな、標準装備のロゴシールだ。AMDは「Better By Design」プログラムを推進して、グラフィックス性能の重要性をコンシューマーに認識させることをもくろんでいる。背景には、30日に発売されたMicrosoftのOS「Windows Vista」が要求する、高いグラフィックス性能がある。だがそれが、グラフィックスを特に気にかけていない顧客に向けたアピールだとしたら、どうだろうか。
Intelが世に問うたCore 2 Duoは、プロセッサ性能を評価検証する多数のウェブサイトの間で大ヒットとなった。それに対するAMD側の正式な回答は、2007年半ばに予定されているクアッドコアチップ「Barcelona」の発売を待たねばならない。こうした状況を受け、Intelの弱点を探していた同社は、Intelのグラフィックス統合型チップセットの性能に狙いを定めた。
チップセットは、プロセッサと、メモリおよびその他のシステムとを橋渡しするものだ。たいていの場合、エントリークラスからミドルクラスのPCには、基本的な機能を備えたグラフィックスプロセッサがチップセットに統合された形で搭載される。グラフィックス性能に本当にこだわるPCユーザーであれば、NVIDIAやATIといった企業が提供する、グラフィックス専用のプロセッサとメモリを持つグラフィックスカードを別途購入するのが普通だ。
統合型グラフィックス搭載のPCは、ウェブや電子メールなどの基本機能を中心にコンピュータを使用するユーザーを対象に設計されている。そこで求められる画質は、天気図で気温を確認したり絵文字アイコンを使ったりといった操作に不自由しない程度のものだ。そして、このレベルで十分間に合うユーザーが、PC購入者人口の驚くほど多くの部分を占めている。価格重視の購入者が、グラフィックス統合型チップセットのIntelをPCグラフィックステクノロジの主要サプライヤーの地位に押し上げたわけだ。
AMDの考えでは、問題は、グラフィックス性能を強化するとどれだけ良いことがあるかという点を購買層が認識していないことだ。Windows Vistaなら特に差は歴然だ、とAMDのモバイル製品担当ディビジョンブランドマネージャーであるScott Shutter氏は語る。「Vistaの時代が幕を開けた今、グラフィックスは鍵となる要素だ。システムの面から、コンシューマーも市場も、より高い性能を要求するようになるだろう」(同氏)
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