AMDは数年間にわたって、同社製プロセッサ用のグラフィックス統合型チップセットの製造をNVIDIAとATIに頼ってきた。グラフィックス性能に強くこだわる2つの企業はこれまで、Intelよりも優れた性能の製品を統合型グラフィックス市場へ送り出してきた、とJon Peddie Researchのプレジデントでグラフィックス業界に精通するJon Peddie氏は説明する。
Intelでチップセット担当プロダクトマーケティングマネージャーを務めるJosh Newman氏は、同社は統合型グラフィックス市場を、競合他社とは少し違った目でとらえている、と語る。同氏によれば、Intelではチップセットを一定数のトランジスタで設計するが、チップセットの基本的機能を満たした後にグラフィックスチームに残されるゲート、つまりトランジスタは、わずかな数しかないという。
そのためIntelの場合、グラフィックス処理のある程度をメインCPUに負担させることで、グラフィックスの性能を確保している。この方法によって、基本的なグラフィックステクノロジを非常に低コストでPCに搭載できるようになり、チップセット当たり3〜4ドル程度で済む、とNewman氏は語った。
対するAMDの統合型グラフィックステクノロジだが、Mercury ResearchのアナリストDean McCarron氏によれば、「スタンドアロンのグラフィックス処理を最優先に設計されたテクノロジの低価格版」というのがその本質だという。「NVIDIAとATIはグラフィックスを第1に考えている。両社ともグラフィックスに特化した企業であり、顧客も彼らに対してはそれなりの性能を期待している」(同氏)
このことが、「グラフィックス専門ブランドの信頼性を打ち出す」というAMDの新たなPCマーケティング戦略としてまとまった。これは、Intelが「Centrino」で展開していたマーケティング戦略への対抗策を数年にわたり模索していた、AMDの戦略の進化形だと言える。
Centrinoや、少し知名度の劣る「Viiv」「VPro」といったブランドは、PCの稼働に必要な主要ハードウェアはすべてIntelからメーカーに提供する、という前提の下に設計されている。この戦略では、Intelが規定する構成部品のラインアップを各メーカーに採用させ、その代わりにCentrinoやViivのロゴシールをPCに貼る権利を与える。このほか、マーケティングサポートもIntelが提供する。
AMDは、逆のやり方でこの戦略に対抗する。同社はPCメーカーや顧客に対して、サードパーティーのチップメーカー各社が提供する最高レベルのチップセット、グラフィックステクノロジ、ワイヤレステクノロジをさまざまに組み合わせ、好きなものを選択できると宣伝している。これが、最近になって「Better By Design」と呼ばれるようになったプログラムの内容だ、とShutter氏は言う。
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