国務院新聞弁公室は、中国検索サイトの大手の百度(バイドゥ)に、独自のニュースを発信することを許可する「中華人民共和国互聯網新聞信息服務許可証」を発行した。バイドゥは今までは他社の記事の転載でしかできなかったが、これにより政治、経済、外交、社会事件などさまざまな分野のニュースを、独自に掲載することができる。
この発行が原因なのか、バイドゥは先週の段階で既に中国各サイトのニュースを集め転載するサイトの名称を、情報という意味の「資訊」という名称から、ニュースという意味の「新聞」という名称に変更した。バイドゥが独自ニュースを配信できることに、新浪(SINA)、捜狐(SOHU)、網易(NetEase)の旧来の有力な3大ポータルサイトは戦々恐々としているようだと中国メディアは伝えている。
バイドゥは独自ニュースの発信する権利を待ち望んでいた。バイドゥ主席科学家の張威廉氏は「検索サイトはポータルサイトにならなくてはならない。バイドゥが真のポータルサイトになるため、独自ニュースの発信は欠かせない。しかし既存のポータルサイトのようなデザインになることはない」と中国メディアに語っている。CNNIC(中国ネットワークインフォメーションセンター)の1月23日に発表された中国インターネット統計によると、ニュースの利用者はインターネット利用者全体の53.5%であり、1億3700万人のネットユーザーがいることを考えれば、単純計算で7330万人のパイがあることになる。中国のリサーチ企業の賽迪顧問の互聯網産業研究中心の総経理である陳文氏は「独自ニュースを発信すれば、さらに多くの利用者を取り込める。その知名度を利用してさらに多くの広告収入を得られるだろう」と、独自ニュースが発信できるうま味をコメントしている。
ウェブニュース市場に本格的に進行するバイドゥに対して、独自ニュース発行で先行する新浪網の総編集長は「バイドゥがネットニュースを作るのは心配していない。ニュースは誰でもかけるものではない。長年やっている新浪のニュースページに一日の長がある」と強気のコメントをしている。
「中華人民共和国互聯網新聞信息服務許可証」に関する法律は2005年9月25日に国務院新聞弁公室と中国信息産業部から発布。規定の中では、10人以上のプロのニュース編集者(うち少なくとも5人以上は新聞社などで3年以上の編集経験をもつ)の雇用と、2年以上企業としてインターネット情報サービスをやっていること、資本は1000万元以上であることなどが条件となっている。
今回国務院から公布されたのはバイドゥのほか、金融情報を中心に扱うポータルサイト「和訊網」と、リッチコンテンツで各種コンテンツを提供するポータルサイトでIDGも出資する「天天在線」の計3サイトとなっている。
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