中国の検索サイト百度(バイドゥ)は16日、英EMI(中国名:百代)と提携し、EMIのコンテンツを合法的に無料で広告付のストリーミング配信することを英語サイト上のプレスリリースで発表した。バイドゥは「EMI Music Zone」というコンテンツを、バイドゥの人気サービスである「百度MP3捜索」のページに掲載し、そこで台湾、香港、シンガポールなど大中華圏のアーティストの音楽を対象に配信する予定。
バイドゥは中国でGoogleと人気を二分する検索サイトで、CNNIC(China Internet Network Information Center)によると、中国の検索市場で62.1%のシェアを持ち、また中国のリサーチ会社iReserchの調査結果によると、バイドゥの提供する「百度MP3捜索」は、音楽検索で84%のシェアがあるとしている。
バイドゥ最高経営責任者(CEO)の李彦宏氏(Robin Li)は「この協力関係はバイドゥの利用者、コンテンツプロバイダー、広告主全てに価値を提供すると信じている。またこの協力は将来的にはインターネットと音楽業界を繋げるきっかけとなるだろう」と、またEMI Music Asiaの総裁である鄭東漢氏(Norman Cheng)は「バイドゥと、そして中国の音楽ファンと近づくこの協力関係の構築は、中国のオンラインミュージックの大きな飛躍となるきっかけとなるだろう。またこの協力関係によりデジタルプライバシーをコントロールできるようになる。それはEMIの中国オンライン音楽市場に対してとても重要なことであり、バイドゥとの提携はEMIの中国でのオンライン音楽市場の開拓のための戦略的なロードマップの一環である」とバイドゥの英文プレスリリースの中でコメントしている。
2005年よりバイドゥは数多くの中国のレーベルと世界のレーベル企業から「百度MP3捜索」のサービスが著作権を無視したサービスとして訴訟のターゲットとなりつづけてきた。バイドゥは「あくまで(MP3など音楽ファイルに絞り最適化した)検索結果を提供しただけ」と弁明し、2006年末にはEMI、UNIVERSAL MUSIC、Warner Music、SONY BMG、Gold Lavelらレーベル連合からの訴訟に対し、バイドゥの言い分が通り中国の裁判所でレーベル連合敗訴の判決が下った。とはいえ今回の両社の合意を各中国メディアは「今回の提携は百度MP3捜索サービスの今後の訴訟対策」と分析している。
2002年11月よりサービスが開始された「百度MP3捜索」。結果からみれば4年以上も非合法な音楽コンテンツファイルの検索結果を提供していたため、今後も急に非合法な音楽コンテンツはなくなることなく、広告付の合法な音楽コンテンツと、根強く残る広告無しの非合法な音楽コンテンツが共存するだろう。ユーザーが合法配信に従っていくかユーザーのモラル次第であり今のところ不明だが、市場のリーダーであるバイドゥが合法配信に走ったとあれば、市場全体が合法配信について考えざるを得ない雰囲気にはなるのではないだろうか。
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