2006年はノートPC用バッテリの大規模リコール問題に悩まされたDellだが、今度は集団訴訟に直面している。同社製のノートPCのうち一部のモデルについて、問題があることを認識した後も販売を続けたとして、あるユーザーがカナダで訴訟を起こしたのだ。
オンタリオ州上級裁判所に持ち込まれたこの集団訴訟の原告代表は、オンタリオ州在住のThad Griffin氏で、Dell製のノートPC「Inspiron」シリーズのユーザーを代表して訴訟を起こした。訴状によると、Inspironシリーズの一部モデルはデザインの欠陥により過熱しやすくなっており、この過熱がマザーボードの消耗を招き、結果的に早期の故障につながるという。
Inspironシリーズの過熱に関する問題はよく知られている。バッテリの過熱や発火の報告があったことから、Dellは2006年8月、410万個ものノートPC用バッテリをリコールしている。
Dellが企業イメージ回復のために奮闘する間も、バッテリの過熱問題に関する報道は同社を悩ませた。8月にリコールについての報道があった後、Dellの株価は急落し、回復には11月までかかった。Dellはその後、米国時間2007年1月9日に発表したカーボンニュートラルプログラムなど、さまざまな取り組みを加速し、自社イメージの回復を試みてきた。
現地時間1月12日に提出された今回の訴えの対象となっているのは、Inspironの1100、1150、5100、5150、5160モデルだ。訴状では、Dell Canadaに対し、欠陥のあるノートPCの交換、もしくは修理費用の支払いに応じるよう求めている。原告側の弁護士は、この請求の根拠として、該当モデルに「システム上の問題」があるように見受けられる点を挙げている。
カナダで販売されているDellのコンピュータには、英国同様、通常は1年間の保障期間が付いている。ただし英国では、Inspironシリーズの保障期間を3年まで延長できる。
この訴訟を担当する法律事務所Rochon Genovaのパートナー、Joel Rochon氏は、カナダのマスコミによる取材に対し「こうした兆候や問題は通常、保障期間が過ぎた後に発生する。しかもこれは、訴状で挙げたInspironモデルに内在するシステム上の問題のように思われる。少なくとも、われわれのもとに来ている報告はそう訴えている」と、述べている。
Rochon氏は、Inspironに発生した問題をRochon Genovaに持ち込むユーザーが「常に一定数」いると説明する。
しかし、バッテリ過熱問題が2006年8月に初めて公になったとき、DellのノートPCを詳しく調査した英国の独立系製品評価サイトWhichによると、DellのノートPCにはいかなる特有の問題もないという。
「Computing Which?」誌の上級調査員、Kim Gilmour氏は当時、次のように語っている。「われわれの調査によれば、Dellは最も信頼性のあるブランドの1つだ。しかし、この種の問題は、Dellのイメージを著しく損ないかねない。同社は即座に対応したが、さらに素早く対処することもできた。実際には、大規模なバッテリリコールについて発表するまでに、数週間もかかってしまった」
Whichの広報担当によると、今回のInspironをめぐる集団訴訟については、Whichでは検討する時間がまだ取れていないとのことだ。
Dellは15日の取材に対し、「企業方針として係争中の訴訟についてはコメントできない」とだけ述べている。
今なおバッテリの過熱問題を懸念しているDellノートPCのユーザーは、Dellのウェブサイトで最新情報をチェックするとよい。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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