「みんなの意見」の活用法―IT企業が導入する予測市場の成果

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:DNAメディア2007年01月09日 18時25分

 カリフォルニア州サニーベール発--オーストリアが生んだ偉大な経済学者F.A. Hayekは、1945年に発表した論文の中で、「自由市場における価格は、将来的な事象の発生可能性に関する情報伝達のメカニズムによって決定される」と看破した。

 例えば、中東で開戦の気運が高まると原油価格はほぼ確実に上昇する。Hayekの洞察は、物事の予測に対して現金を賭けられる人々の数が多ければ多いほど、予測結果の精度が驚くほど高まることを示した。

 今日、このHayekの説をテクノロジ 企業各社が現代的にアレンジして利用している。それが「予測市場(prediction market)」だ。予測市場の目的は、コスト削減、そして散在しがちな一般社員の知識を活用すること。また、「このソフトウェアはいつ発売されるか」「数カ月後にこのメモリの価格はいくらになるか」といった問いの答えを引き出すために利用されることもある。

 米国時間2006年12月13日夜、micro-conferenceがYahoo本社で開催され、Google、Yahoo、Microsoft、Hewlett-Packard(HP)の関係者 が集結し、各社における予測市場への取り組みを発表した。司会進行は、「みんなの意見は案外正しい(原題:The Wisdom of Crowds)」を著書に持つJames Surowiecki氏。同氏は、「本当に価値のある知識は、総体として見た組織の中にある」と語った。

 各社の取り組みとは、次のようなものだ。

 Google:2005年、同社のプロジェクトマネージャーBo Cowgill氏がブログの中で明らかにしたことで、Google社内における予測市場の存在はよく知られるようになった。

 Cowgill氏は、社員の予測精度をランキングとして発表して人事評価に組み込み、社員を積極的に参加させるよう企業に勧めている。同氏はさらに、Googleでは従業員名簿に各人の予測精度を掲載することを考えているとも語った。「各部門で優秀な社員を把握することができる」とCowgill氏は言う。同氏はさらに、Googleでは従業員名簿に各人の予測精度を掲載することを考えているとも語った。

 現在Googleでは、四半期ごとに決定される成績優秀者に賞金とTシャツを贈呈しているという。しかしCowgill氏は、金品ではなく評価に反映させることにこだわり続けている。「社員の参加を将来も維持するには、賞金を上げ続けていくか、各種の法規制を変えていかなければならない。しかしどちらも簡単にできることではない」

 HP:HP Labsは、社員と管理職向けの予測ソフトウェア「BRAIN」を開発した。このソフトウェアは、製薬大手Pfizerが2007年から使用を開始することが決定している。BRAINには、利用者のリスク回避傾向に基づいてプロファイルを割り当てる独自の機能がある。

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