「みんなの意見」の活用法―IT企業が導入する予測市場の成果 - (page 2)

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:DNAメディア2007年01月09日 18時25分

 HPはBRAINのテストとして、まずメモリ価格を予測する方法を既存のやり方と比較した。メモリはコンピュータの原価の最大10%を占める。年間数十億ドルをメモリに費やしているHPにとって、メモリ価格は重要な指標の1つだ。テストの結果、DDRとDDR2 512Mバイトメモリの価格予想における誤差率は、従来の方法では4%だったのに対し、予測市場を使用した場合は2.5%と、37%も改善された。次のテストではHP Servicesの営業利益を予測したが、ここでも同様の結果が得られた。

 HPのLeslie Fine氏は、「この予測市場の参加者は、見返りを受け取るだけで自分のお金は失わない」ため、同社は米商品先物取引委員会(CFTC) の規則に抵触せずに現金を支払うことができる、と言う。

 Yahoo:Yahoo Researchの主席研究員であるDavid Pennock氏によると、同社はYootleという通貨を開発しているという。同氏はこれを「『貸し』を記録するシステム」だと説明する。

 Pennock氏は、プログラマーがコードを作成するとYootleを得られるという例を挙げた。また、同僚とのディナーの行き先を決めるときに、社内のSMSツールを使い、2Yootleをイタリア料理店、4Yootleをメキシコ料理店に賭けることができる。「希望するレストランに行けなかったとしても、賭けの配当金は入ってくる」(Pennock氏)

 Yootleと関連するYahoo Researchの予測市場への取り組みとしては、「Tech Buzz Game」テクノロジがある。これは、NewsFuturesがライセンス供与したソフトウェアを改変し、O'Reilly Mediaと共同で提供しているもの。扱われるトピックは、大西洋で発生するハリケーンからポータブルメディアデバイスまでさまざまだ。勝者となるのは、Yahoo Searchの検索ランキングにおけるトピックの人気度を的中させた参加者だ。

 Microsoft:同社Center for Software ExcellenceのディレクターであるTodd Proebsting氏は、予測市場を社内で試し、たちまち経営陣の賞賛を得ることになった。

 このテストでは、開発チームのメンバー25人が、Microsoft製品(一般発売されない社内向け製品)の公開日を予測した。同市場は2004年8月に発足。長年取り組んできたという対象製品は、2004年11月に公開される予定になっていた。各「トレーダー」は、スタート時にそれぞれのアカウントに50ドルが割り当てられ、予測精度が高ければその金額は増えていくと説明された。市場がスタートした時点で、「予定どおり公開」の開始価格は16 2/3セントに設定された。

 Proebsting氏によれば、「11月以前公開」の価格はすぐ0に下落し、「予定どおり公開」の価格は、2、3分後には1ドル当たり2.3セントにまで下落したという。つまり、「予定どおり公開」のオッズは30倍以上になったのだ。

 その後、製品スケジュール担当のディレクターが、11月よりも後の公開日を売り買いしている同僚を説得し始めた。Proebsting氏は振り返る。「そのディレクターは、『予定どおり公開』の価格を3セント前後にまで上げることに成功したが、皆は、相場の上下を実に楽しんでいた。こういうことが好きなようだ」

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