Proebsting氏によれば、翌日ディレクターから、『まったく余計なことをしてくれたものだ』と言われたという。しかしさらに調査を行うと、それを経営陣に伝えたものは誰もいなかったが、スケジュールは実際に遅れていた。結局この製品は、2005年の2月に公開された。
最後に、政策分析市場を見てみよう。開発者兼プログラマーであるChris Hibbert氏は、予測市場の設定を行うためのZocaloと呼ばれるオープンソースソフトウェアを開発している。
Hibbert氏は、予測市場用ソフトウェアがバーチャル通貨、本物の通貨、社内通貨の各種類に対応していること、そして通貨を評価ベースで付与することが必要だと述べている。
Hibbert氏は、政策および政治問題という面白くなり得る話題があるにもかかわらず、「Hollywood Stock Exchange」や「Tradesports.com」といった既存の予測市場の大部分では、スポーツや映画の興行成績にトピックが偏り過ぎていると言う。
ジョージメイソン大学経済学部のRobin Hanson助教授は、予測市場の創始者に最も近い存在と言える人物だ。しかし、政策分析市場がテロ攻撃などの予測に役立つという考えを持つ同氏を民主党上院議員たちが攻撃し、現在同氏を中心とする政治論争が起きている。この背景には、Hanson氏に補助金を交付した共和党政権の失墜を狙う民主党の思惑がある。
「国家レベルの報告書の事例が予測市場の材料に使われ、『来年、イスラエルで生物テロ攻撃が起こるか』といった設問で賭けが行われることになるだろう」。これは、オレゴン州選出の民主党上院議員Ron Wyden氏、およびノースダコタ州選出の民主党上院議員Byron Dorgan氏が、2003年、米国防総省の防衛高等研究計画局(DARPA)に送付した文書の内容だ。「このような脅威は、当然、諜報機関による最高精度の機密情報として扱うべきであり、インターネットウェブサイトでの賭けの対象となる質問ではあり得ない」(同文書)
12月13日、Hanson氏は、この騒動がメディアで大きく取り上げられなかったことについて、「せっかくひと働きしようかと思ったのに」と皮肉った。同氏は論文の中で、この問題に詳しいジャーナリストや最近の報道記事には、政策分析市場に対する好意的な傾向が見られると指摘している(PDF)。
Hanson氏は、広告代理店の変更が企業の売上額に与える影響や、米国からの補助金の有無がヨルダンの経済に及ぼす影響といった条件付き確率の問題は、さらに実験する価値があると言う。
「予測市場は行動の帰結を示してくれる。だが、『予測市場』という行動の帰結は、何によって示されるのだろうか」(Hanson氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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