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「iPodマジック」は起こらない--アップル製ケータイを待ち受ける壁 - (page 2)

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:DNAメディア2006年12月19日 17時27分
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 ここで、Appleは他メーカーが見向きもしなかった1.8インチのハードドライブを選んだのだ。このオプションに気付かなかったことこそ、業界他社が犯した大きなミスだった。1.8インチドライブの採用により、Appleは小さな筐体に大容量ストレージを収めることに成功した。従来のMP3プレーヤーでは解決し得なかった問題を克服したのだ。最初のiPodで5Gバイトのストレージが実現された。これは、大きいフラッシュメモリプレーヤーと比べても40倍近い容量である。また、Appleはしばらくの間1.8インチドライブを独占的に確保したため、他社も追随できなかった。

 iPodはまた、画面が小さくて操作性が悪いという問題も克服していた。Appleは、新たに獲得した人気を武器に、音楽出版社各社に自社の条件をのませることにも成功している。

 ところが、Appleにとって不都合なことに、こうした問題は携帯電話ビジネスには存在しない。今の携帯電話は、不格好で使いにくい装置ではない。むしろ非常によくできたツールだ。ほぼ完成形と言えるだろう。上述の携帯電話「BlackBerry」は、別名「CrackBerry」とも呼ばれるが、携帯電話になぜ「Crack」の名が付けられるようになったかご存じだろうか?ずんぐりしたデザインとわかりづらいインターフェースのせいで、操作していると車にぶつかってしまう(crack)からではない。この携帯電話が持つ麻薬(crack)のような中毒性に、誰もが取りつかれてしまうからだ。

 サムスン電子は、優れた人材を世界中のデザインスクールに求めるだけでなく、アーティストの受け入れ拠点を米国、アジア、ヨーロッパに設け、電話のデザインを洗練させてきた。Motorolaは、優れたデザインによって勢いを盛り返した。KDDIは、トレンドを敏感につかむため、十代の若者が集まる東京の原宿にショールームを開いている。そして、シャープが携帯電話に搭載した液晶テレビは、非常に高品質なものだ。

 つまり、Appleを迎え撃つのは、かつてのCompaqのような、策を持たない動きの鈍い企業とは違うということだ。1カ月に満たないペースで次々と新しいモデルを送り出す、携帯電話メーカー各社の動きは極めて俊敏だ。

 もう1つ、Appleは「信用」という課題にも向き合わなければならない。音楽プレーヤーの場合、ことは簡単だ。楽曲をメモリから取り出して、その音を増幅させるだけだ。携帯電話の場合、コンシューマーが最も重要視するのはサービス品質になってくる。聞き取りやすく安定した接続を確保するなど、携帯電話に関するあらゆる課題を、新参企業がすんなりクリアできるとは考えにくい。おそらくAppleは、携帯電話の製造を外部の業者に委託するだろう。しかし、携帯電話の設計には経験と才能の両方が求められる。そして言うまでもなく、業界他社は、この点ではるかに先を行っている。

 電器店を訪れたコンシューマーは、Apple製携帯電話を買おうかどうか迷うだろう。手に取り、調べるくらいはするかもしれない。しかし、クレジットカードを取り出すときには、Motorolaの機種を選んでいるはずだ。

著者紹介
Michael Kanellos
CNET News.comの副編集長。ハードウェア、研究開発分野、新興企業、海外のテクノロジー産業などの分野を幅広くカバーしている。弁護士、旅行作家、タイムシェアリゾートの街頭販売など、さまざまな職業を経験している。

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