日本語版サービスの開始が決まった百度、中国で成功した理由とは?

 百度(Baidu、バイドゥ)が2007年日本でサービスを提供する。中国においてバイドゥは同業のGoogleより人気があり、また2006年、古くから中国で最も人気のある中国3大ポータルサイト(新浪網、捜狐、網易)を越え、中国で最もトラフィック量が多い人気サイトとなった。中国でのバイドゥの人気の秘密は何だろうか。

 メインのサービスであるウェブ検索サービスは、Googleとよく似たシンプルなデザインで、検索結果表示にはGoogleと同様、サイトのキャッシュ(バイドゥ名「快照」)もある。またニュース検索(同「新聞」)もあれば、イメージ検索(同「図片」)もある。本稿掲載日(12月7日)現在、中国国内でGoogle(中国語名「谷歌」)を利用すると、検索結果のキャッシュをクリックすれば「Not Found」が表示され、イメージ検索すれば結果は表示されても画像がダウンロードされず、ニュースをクリックしたら「Not Found」が表示される。一方バイドゥについてはいずれも問題なく表示される。つまり中国では検索サービスとしてのGoogleとバイドゥの勝負において、Googleはハンディキャップを背負っていたのが多少なり影響したのだろう、結果的に検索が快適に行えるバイドゥに分が行った。日本でのGoogle対バイドゥのシェア争いは、Googleのサービスはいずれも障害なく表示できるため、純粋にサービスの良し悪しで勝負が決まる。

 Googleが検索サービス以外でも地図表示サービスやデスクトップ検索ツール提供などのサービスを提供するように、バイドゥでもデスクトップ検索ツール(同「硬盤」)や中国全土を対象にした地図表示サービス(同「地図」)がある。バイドゥはGoogle以上のサービスを提供しており、ここでその全ては紹介しないが(当コーナーのバックナンバーのこの記事を参考にするといいだろう)、例えばWikiサービスの「百科」、MP3など音楽コンテンツファイルに絞って検索する「MP3捜索」、質問をして誰かに回答してもらう「知道」などがあり、いずれも中国人のネット利用者のニーズに合わせたものとなっている。それもバイドゥの中国での人気の秘密であろう。

 ところで、CNNIC(中国ネットワークインフォーメーションセンター)の2006年7月発表の最新の統計によると、35歳以下の利用者が全体の82.3%を占め、それ以上の年齢の利用者が極めて少ないことが判明している。そのためバイドゥの提供するサービスは(というよりも中国のポータルサイトのコンテンツ全体は)青年、少年向けに特化したものが少なくない。一方日本では幅広い年齢層の人々がインターネットを利用している。バイドゥが検索サービス以外に、日本向けにどのサービスを提供するかは不明だが、日本向けに中国で導入済みの青年、少年向けサービスを言葉を変えて提供しても、日本の幅広い年齢層には受け入れられないだろう。バイドゥがどの程度日本人のネット利用者の全体像をつかみ、日本人にあった検索サービス以外のサービスを提供するか。これも日本でバイドゥがどの程度浸透するかの鍵となるだろう。

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