百度IPOから1年、その軌跡を振り返る

 2005年8月5日に中国の検索サービスの雄である百度(Baidu)が米国ナスダックに上場してから1年が経つ。上場当日は公募価格の27ドルに対し122.54ドルまで急騰し、その後の最高値では153.98ドルまで上がったが、現在は70ドル前後で推移している。IPOから現在まで1年の間に起こったのか、振り返ってみよう。

コンテンツの著作権と向き合い始めた百度

 百度MP3捜索は文字通りMP3ファイルを検索し、結果を表示し、結果ファイルに対しストリーミングを行うのだが、著作権の有無に関わらずネット上のファイルを拾い、それらのファイルを基に音楽ジャンル別人気ランキングをリストする。このサービスをめぐって、2005年9月に著作権違反を理由にレーベル数社から提訴された。結果は百度の敗訴となったものの、今もサービスを停止することなく、ユーザーに著作権を意識させるようなデザインに変更する程度となっている。2006年3月には、百度がレーベルに広告表示権を与える代わりに、音楽ダウンロードを無料にすることをレーベルと交渉したと中国メディアは伝えている。

 その一方で2005年10月には、ケータイコンテンツを運営する華友世紀と正規版音楽配信事業で提携するなどの動きも行っている。

 現在ベータ版である音楽掌門人の正式版が近日リリースされる。音楽掌門人は、アーティストの説明をWikipedia風にユーザー同士で構築しリリースされた曲名をリストアップし、その曲名をクリックするとMP3捜索の結果が出るというもの。また動画コンテンツ配信サービスの「百度影視」が近日リリースされる予定となっている。

拡充したサービス

 Googleが単なる検索サービス提供にとどまらず、「more」をクリックすれば検索以外のサービスを多数提供しているのと同様、百度も「更多」をクリックすれば多数のサービスを提供しているのが分かる。そこで見られるサービスの数はこの1年でさらに増えた。2005年11月には日本の「はてな」のようなサービスの「百度知道」を、2006年4月にはWikipediaのようなサービスの「百度百科」を、同年7月にはブログサービス「百度空間」をリリースしたのを筆頭に、他にも2006年1月に「百度国学捜索」、同年3月に「百度公益力集合体」をリリースしたほか、メディアがどの程度キーワードに注目しているかを数値化した「百度指数」、子供向け検索サービス「小児捜索」、大学のサイトに絞って検索する「大学捜索」のベータサービスをリリースした。今月には百度法律捜索のサービスをリリースを予定している。

 また既存サービスの強化も行っている。「百度地図」では17都市の地図データを追加、百度MP3捜索では歌詞が連動して表示される仕組みとなった。

 サービスを拡充する一方で、企業ソフト事業部を終了させ、部内全員解雇をするなどの大胆なリストラをすることもあった。

各企業と提携を結ぶ百度

 この1年、企業との提携のニュースも少なからずあった。2006年3月にNokiaとモバイルでの検索業務で提携、同じく3月にスイスのメディアRingier AGの中国支社が業務提携、5月にIBMとデスクトップサーチで提携、7月に将来の図書検索サービスのため北京大学図書館と提携、7月には中国HPと提携、HPのPC「自由人」シリーズに百度製検索ソフトをプリインストールするなど、様々な企業と提携を行うことを締結した。

百度の次の1年はどうなる?

 7月31日に百度の第2四半期の決算発表が行われた。売上げが前期比41.3%増、前年同期比174.9%増の1億9160万元(約27億7820万円)で、純利益が前期比65.9%増、前年同期比385.2%増の5850万元(約8億4825万円)と増収増益で好調だ。

 2006年5月の中国メディアの報道によると、百度は日本語、英語、ベトナム語のできる人を募集しているのだそうで、日本を含めた外国への進出も将来考えられる。

 今年4月に百度のCEOである李彦宏は「5年後は百度になれて、Googleなんてひどくて誰も見なくなる」とコメントしている。そんな5年後に向けて次の1年では何を見せるのだろうか。

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