連邦および州検察当局は米国時間11月21日、Microsoftが間もなくリリースするOSの「Windows Vista」は独占禁止法に抵触していないとする文書を、裁判所に提出した。
政府の代理人は、Microsoftと米国司法省および州側原告団が2002年に合意した和解案に基づき、両者が共同で提出した今回の定期状況報告書の中で、Microsoftのコンプライアンス状況を監督する技術委員会がVistaおよび「Internet Explorer 7」の「詳細調査」を実施した結果、顕著な問題は見当たらなかったと述べている。
報告書によれば、Microsoftと同技術委員会は、ウェブブラウザ、電子メール、インスタントメッセージングクライアントおよびメディアプレーヤー分野における同社の競合企業に対し、新OSの出荷前に自社製品を「Vista対応」とすることができるダウンロードプログラムを提供したという。
このプログラムを利用することで、アプリケーションに「Windows XPおよびVistaシステムで稼働するシステムとして(Microsoft製品と)同等の認知度」を持たせるのに必要なすべてのレジストリ設定を行うことができると、技術委員会は説明している。具体的には、ユーザーがデフォルトのソフトウェアを非Microsoft製品に変更する手間を軽減することなどが、同プログラムを提供する目的の1つだという。また、XPおよびVistaのインストール後に、スタートメニューやデスクトップ、タスクパネルといった頻繁に使用する領域で、サードパーティのアプリケーションを探すことも簡単になる。
Microsoftは、30社に上る同社の競合ソフトウェアメーカーと連絡を取り合い、ワシントン州レドモンドの本社に勤務しているエンジニアと協働できるようにしたとも話した。
前回の状況報告書が提出された2006年5月以降、政府は競合ミドルウェアに関するトラスト法違反の申し立てを25件受けたが、いずれも根拠がないと判断したと、政府側の代理人は述べている。
米国の規制当局は問題視していないものの、最近では欧州や韓国の当局が、Vistaのセキュリティおよびファイルフォーマット機能をめぐる反トラスト問題に懸念を表明し、波紋が広がった。Microsoftは10月に、これらの懸念を解消する変更を同製品に施したと発表している。
和解の対象項目の中でも、「Microsoft Communications Protocol Program(MCPP)」は最大の争点の1つとなっていたが、このたび提出された状況報告書によれば、MicrosoftはMCPPのライセンス文書を改訂して、問題の解決を図っているという。和解の一条件として打ち出されたMCPPは、Windows対応のソフトウェアを製作するサードパーティ開発者を支援するためのプログラムだ。
とはいえ政府側の弁護士らは、同プロジェクトがこのまま順調に進むのかどうか、いまだに不安を抱いているという。原告団および本件の担当連邦判事も、こうした面におけるMicrosoftの対応は「非常に遅い」と苦言を呈した。なお同判事は、プロジェクトの完了期限を2年間延長する裁定を下している。
米政府は現状報告書の一部に、「Microsoftが裁判所に提示した期限内に、完全かつ正確な文書を作成するためには、同社がプロジェクトに全力で取り組むことが絶対に必要である」と記した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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