以前に、「『大きいことがいいこと』とは限らない--ソーシャルネットワークのジレンマ」という記事に、「移ろいやすいユーザー(の生み出すコンテンツに)依存するSNSだけに、単純に対象を拡大すればいいというわけでもない」と書いたが、さっそくこれを裏付けるようなデータがあがっている。
Wall Street Journalの「MySpace, ByeSpace?」という記事によると、9月には最大手のMySpaceと2番手のFacebookで、ともにユニークユーザー数が減少したという(MySpaceでは8月に4920万人だった利用者数が4720万人へと4%減少、Facebookも890万人から780万人へと12%少なくなっている。なお、この数字の出元はNielsen/NetRatingsだが、Facebook側では9月の利用者数について9%増の1100万人になったと述べている。
この数字の減少については、「新年度が始まり学生の利用が減った」という季節的変動要因も影響しているものの、それ以外にもっと根本的な問題も作用しているという。この記事のなかには、「MySpaceが急激な成長フェーズから、成熟フェーズに移りつつある」ことを認めるFox Interactive Media(MySpaceを傘下に収めるNews Corp.のインタラクティブ事業統括部門)幹部の言葉に続き、このことはMySpaceが飽和状態に近づいていることを暗に示唆しているのかもしれない、と書かれている。
なお、トラフィックについては、MySpaceが第3四半期に3.1%の微増を記録(前年同期は45%増)した一方で、Facebookは同期間中に1.7%減らしている(前年同期は11%増)。Facebookでは先月、それまでの方針を変更し、実質的に誰でも加入できるようにしたが、この方針変更に反発した一部のユーザーが利用をやめたことによる影響もあるという。
さらに、両サイトではあまりに巨大になりすぎたことの弊害も出ているという。たとえば、MySpaceでは友人登録(=リクエスト)の仕組みを悪用したスパムが横行している(そうしたスパムの自動的に送信するプログラムを販売するFriendBot.comやFriendAdder.comといったサイトもすでに存在している)。 また、MySpaceでの「友達」の数が4000名にもふくれあがり、その大部分が赤の他人という状態になってしまったことに愛想を尽かし、同サービスから抜けたユーザーの例も紹介されている。
一部には「MySpaceの価値が数年後には100億ドル規模になる」とも声もあるように巨大な潜在力を秘めたSNSだが、今後しばらくは成長に伴う痛みを経験することになるのかも知れない。
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