欧州委員会によるVistaの調査内容が徐々に明らかに--MS幹部が語る

文:Tom Espiner(ZDNet UK) 翻訳校正:編集部2006年10月25日 18時30分
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 欧州委員会は、Microsoftの次期OS「Windows Vista」に反競争的な要素がないか調査を進めている。この調査の詳細がMicrosoftの上級幹部によって明らかにされた。

 欧州の規制当局は、Vistaの複数の部分が反競争的な行為を禁じる法律に抵触する可能性があると懸念している。これを受け、Microsoftと欧州委員会は3月から、問題について延々と議論を重ねてきた。

 Microsoftのセキュリティ技術部門の法人担当バイスプレジデントBen Fathi氏は、「Vistaの4つの部分について欧州委員会からフィードバックを受けた。そのうちの2つはセキュリティに関するコンポーネントで、もう2つはその他の部分のコンポーネントだった」と語った。

 欧州委員会は、VistaのWindows Security Center(WSC)と呼ばれる機能が派手なセキュリティ警告を表示することについて懸念を抱いている。消費者にMicrosoft製品か同社が推奨する製品の購入を促し、Microsoftに不当な優位性を与えるのではないかというのが、欧州委員会の考えだ。

 フランスのニースで開催されているRSA Conference Europe 2006に出席したFathi氏は現地時間10月24日、CNET News.comの姉妹サイトであるZDNet UKの取材に応じ、次のように語った。「欧州委員会は、ベンダー各社がSecurity Centerのアラート機能を無効化できるようにしたいと考えた。そこでわれわれは、全てのセキュリティ関連のパートナー企業にAPI(Application Programmable Interface)を提供することにした。これには欧州委員会も納得してくれた。われわれはこの点については完全にオープンだ」

 欧州委員会の懸念の種となったもう1つのVistaのセキュリティ機能は、64ビット版Vistaに搭載されているPatchGuardと呼ばれるカーネル保護コードだ。セキュリティベンダーのMcAfeeやSymantecは、このPatchGuardについて、(他社のセキュリティ製品による)カーネルへのアクセスを禁じる機能だとして批判してきた。欧州委員会はMicrosoftに対し、この機能を無効化するよう要求したが、同社は拒否した。

 Fathi氏は、「カーネルパッチ保護の無効化にはどうしても応じられない」としたうえで、「われわれはパートナー企業と協力して(アクセス手段を提供できるように)取り組んでおり、現在も継続中であると欧州委員会に説明した」と語った。また同氏は、Microsoftはセキュリティ関連のパートナー企業に対しVistaの全ての部分のAPIを提供することに合意していると付け加えた。

 「API(の公開)は欧州委員会との約束に基づいたものだ」(Fathi氏)

 また欧州委員会は、XML Paper Specification(XPS)についても懸念を示した。XPSでは、同形式のドキュメントについて、どのように配布、保存、レンダリング、加工するのかが記述されている。

 欧州委員会は、XPSをオープンスタンダードにしたいと考えた。しかし、Microsoftは、誰でもXPS Documentの読み取り、書き込みを出来るようにした。現在、XPSは無償のライセンスの下で公開されている。XPSは一度ライセンスを取得すれば、自由に配布できる。ライセンス保持者は、XPSの利用者を「提訴しない」という不起訴契約に合意しなければならない。

 Fathi氏によると、欧州委員会はさらにInternet Explorer(IE) 6からIE 7への自動アップグレードについても懸念を示したという。IE 7は先週発表され、11月からMicrosoftのAutomatic Updateシステムを通じて配布が開始されると見られる。

 また最近、欧州委員会がVistaシステム上の暗号化や同システムの手書き文字認識ソフトウェアにも関心を示したと報じられたが、この点についてはMicrosoftの確認は取れなかった。同社の関係者によると、Vistaにバンドルされる手書き文字認識ソフトウェアにはサードパーティの製品が採用されるという。

 欧州委員会は10月初め、Microsoft Vistaに対する懸念を表明しながらも、その懸念の全詳細については公表を控えた。その理由として同委員会はVistaの反競争性に関する議論をめぐる「微妙な法的状況」を挙げている。

 競争政策担当委員のNeelie Kroes氏は8月、Microsoft の最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏とVistaをめぐる状況について議論している。この席でKroes氏は欧州委員会がVistaの発売前に同OSに対する認可を与えられないと警告した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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