インテルは10月18日、WPC Tokyo 2006の会場において「デュアルコア、マルチコアが創り出す次世代コンピューティングと新しいライフスタイル」と題した基調講演を行った。
副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長のムーリー・エデン氏は、25年前につくられた元祖モバイル・コンピュータとして知られる“オズボーン”を紹介し、「今年はモバイルPCの25周年を祝う年」と切り出した。
ポータブルモバイルのニーズは25年前から存在していたが、80年代はニッチな存在だった。いまではノートPCのほうがデスクトップPCよりも多く販売されている。その現状を踏まえ、「真のモビリティに、なにが加速させたのか。過去3〜4年を見ると要因の1つは携帯電話にある」とムーリー・エデン氏は言う。
携帯電話は、個人専用の番号を持ち、端末のスタイルやカラーなどを選ぶこともできる。モビリティとパーソナリゼーションが急激に拡大した要素であり、「それはモバイルコンピュータも同じことが起こっている」と語った。
「従来、仕事のためだけにPCを使用してきたが、今では家でも使用する。ウェブポータル、写真、動画など、まさにパーソナルなPCになってきている」とした。また、米国では、テレビよりもPCを好むようになってきているという。カナダで16歳〜25歳を対象に調査を行ったところ、テレビの前にいる時間よりもPCの前に長くいると答えた人のほうが多かったとしており、「自分の息子もPCの前に長くいる」と付け加えた。
PCの利用形態のトレンドとしては、(1)ホーム・エンタテインメント、(2)ストリーミングサービス、(3)VoIP、(4)自宅でも旅先でも使えるモビリティの4つを挙げ、「マルチコアのCPUならばそれらがもっと楽しくなる」と2006年7月に登場したデュアルコアプロセッサをアピールした。
実際に、シングルコアとデュアルコアのPCを使い、HDのビデオの再生と、デコード、ファイルの圧縮の3つの作業を同時にさせ、CPUの利用率や再生の違いなどをデモした。
「デュアルコアがなぜ必要か。答えは並列処理するためだ」とムーリー・エデン氏は言う。ウイルススキャンしながら仕事をしたり、HDクオリティのビデオを活用できるようにするためにも必要だと話した。
また、11月に登場するクアッドコア搭載PCとデュアルコア搭載PCを使用し、映像のエンコードスピードの比較デモを披露した。15秒の映像クリップを、デュアルコアPCでは40秒かかったのに対し、クアッドコアPCでは27秒で変換が終了した。
日本市場ではテレビを置き換える形でPCが普及してきており、33%のデスクトップPCがオールインワンだとした。従来、コンピュータの筐体は大きく、色はベージュもしくはグレーで机の下にしまっておく味気ないものだった。現在は、家具のようにスタイリッシュなものもでてきているとし、日本で発売されているVAIO Type Uなどの小型PCから一体型のデスクトップPCまで、各メーカーのPCを一挙に紹介した。
「日本では現在デスクトップPCの代わりに使われているが、ノートPCは移動中に使うものとしても活用される。デジタルチューナーが搭載され、新しいライフスタイル、ビジュアルが楽しめるようになり、マルチコア、デュアルコアのCPUによって何倍も楽しみが増える。2年後には、楽しみが倍増しているだろう」と締めくくった。
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