日立製作所中央研究所は10月3日、デジタル放送の映像を高精細に変換できる映像処理技術を開発したと発表した。これにより画素の密度が低くなる100V型クラスの薄型テレビでもハイビジョン映像の画質をそのままで楽しめる。日立では2010年の実用化を目指す。
このほど開発したのは、入力画像をデジタル信号処理することで解像度を上げる「超解像」と呼ばれる信号処理プログラム。通常のテレビ放送は毎秒30枚の画像から構成されているが、従来の超解像技術では、1枚の高精細画像を作成するために10〜50枚もの画像を必要とした。
新たに開発したプログラムでは2枚の画像だけを使用して高精細画像を作成でき、映像の解像度を向上させることができる。少ない画像で処理できるため、演算の簡素化が可能。さらに少ない半導体部品で回路を構成でき、小型で低価格の画像処理ユニットが製造できるようになる。
日立では今回、ソフトウェアで地上デジタル放送の標準画質相当の入力信号を使って開発した技術の有効性を検証。解像度を約2倍向上させ、ハイビジョン映像並みの画質に変換できることを確認した。
今後はリアルタイムで映像処理ができるよう技術の改良する一方、LSIなどの回路に搭載できるプログラムの開発も進める。日立では新技術を半導体回路に組み込んだ映像処理回路としての利用を想定している。
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