ジョブズ氏のいないアップルが来る日--IT企業が直面する「後継者選び」 - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年10月03日 21時28分
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 もちろん、後継者選びは細心の注意をもって進められる。なぜなら、大抵の場合、正式決定前に後継選定プロセスが外部に知られるのを役員たちが嫌がるからだ、とMader氏は説明する。「経営トップの交代を検討していることを隠しておきたいだけでなく、トップ交代をめぐる内部的な混乱を避けたいからだ」(Mader氏)

 「後継CEO決定プロセスというのは、ジュースを絞るように組織から才能ある人物を絞り出す作業だ」とMader氏は言う。問題は後継者の座を勝ち取ることができるのは1人だけという点だ。条件を満たさない者は、その会社のCEOには最適ではないとしても、非常に有能な重役であることが多い。そのため、後継者選びの過程で候補からもれたことが分かると、他社での成功を求めて会社を辞めていく者もでてくる。

 「GEのような巨大企業なら(人材的に)それくらいの余裕はあるだろうが、普通の会社、とりわけ典型的なテクノロジ系企業ではそのようなリスクを犯すことはできない」とMader氏は言う。それでも、McNealy氏はこの難題を見事にやってのけた。McNealy氏は、ゼネラル・エレクトリック前CEOのJack Welch氏によって提唱されたシックスシグマ業務改革方法論を採用していたことで知られている。それも後継選びがスムーズにいった一因だろう。

 後継者選びは避けてとおれない道だが、最も簡単な方法は、会社がまだ小さいうちから後継者育成計画を始めてしまうことだ、とDubovoy氏は言う。テクノロジ企業は、エンジニアやソフトウェア開発者によって起業されることが多いため、「当然ながら、そうした創業者たちはCEOとしての管理スキルという点では実績がない」(同氏)

 会社が成長するにつれ、多くのベンチャー投資家たちは後継者の育成を強く要求する。会社が比較的若いうちにプロの管理職を雇い、経営に参加させるという方法だ。最近の例では、eBay、Yahoo、Googleといった企業がこの方法を採用している。これらの企業では、技術屋たちがすばらしいアイデアを実現させたものの、現在のような大成功を収めるにはベテラン管理職たちの力が不可欠だったと思われる。

 CEOたちも、良い後継者育成計画を求めていることが多い。

 「ほとんどのCEOは、自身の任期を制限すべきだと考えている」とMader氏は言う。しかし、実際には、それを実践に移すのはCEO全体の20〜30%程度に過ぎないという。

 また、外部の人間を採用してもうまくいかないことが多い。Gordon Eubanks氏の後継者としてSymantecのCEOに就任し、同社を世界有数のソフトウェア企業に仕立て上げたJohn Thompson氏のような例もあるが、テクノロジ企業の文化に肌が合わずに終わってしまう者も多い。外部から採用された管理者のうち35〜50%くらいは、何らかの理由で若い成長企業に適合できないのでは、とDubovoy氏は推測している。このため創設者は経営トップの座を譲ることが難しくなり、結局、新しいリーダーがすぐにでも必要な状態に追い込まれてやっと後継者の育成に着手するといったことになりがちだ。

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