2006年3月に発表されたソフトバンクによるボーダフォン買収。その発表から着々とサービス開始に向けた準備を続けてきたボーダフォンは、10月1日より「ソフトバンクモバイル」としてのサービスを開始する。そのボーダフォンは9月28日、2006年秋冬向けの新端末と10月以降に提供する予定の新サービスについての発表会を開催した。
発表会に登場したボーダフォン代表執行役社長兼CEOの孫正義氏は、まずボーダフォン買収からソフトバンクモバイル始動までの取り組みについて説明した。
ボーダフォンでは2006年初めには2万局に満たなかった基地局を2万5000局までに増やした。そして2006年度末までに4万6000局の設置を目指すという。また、第3世代(3G)端末も充実させているが、AQUOSケータイ「905SH」が2006年6月から3カ月連続でワンセグ販売実績1位となり、「705SH SLIMIA」が8、9月の販売実績が携帯電話キャリア総合1位となったことを発表した。これは「ボーダフォン創業以来、おそらくJ-フォンが始まっての快挙だ」という。
705SH SLIMIAとiPod nanoをセットで販売を開始しているが好評な売れ行きだと説明する。「音楽を聴く時は電話をしない、電話をする時は音楽を聴かないので2つを同時に利用することはないのではないか」と語り、iPod機能を搭載した携帯電話の開発に対しては消極的な姿勢を見せた。
そして孫氏は新サービスに向けて「13.54」「12.3」「165100000」という数字を挙げ、「これが何を意味するか分かりますか」と会場に質問を投げかけた。
まず1つ目の「13.54」は「13機種54色の新端末」を発表するという発表だ。孫氏は「これまでボーダフォンと言えば品揃えが悪くかっこわるいというイメージだったが、それを払拭する業界最大の新製品ラインナップ」になると説明する。
次の「12.3」は新端末の薄さを表す。13機種の新端末の中には、国内端末として最薄となる厚さ12.3mmの2つ折り端末「706SC」やスライド式端末としては世界最薄端末となる厚さ12.9mmの「705SC」など薄型端末を4種用意する。「『薄いケータイはソフトバンク』ということを出していきたい」と孫氏は自信を見せる。そして、13機種54色と発表された新端末だが、孫氏はさらに、「今日はまだ話せないが、あと2機種『隠し球』を用意しており、15機種64色となる予定だ」と更なる端末の存在についても示唆した。
そして「165100000」はYahoo! JAPANの月間利用ID数を表す。ヤフーが発表したモバイル向けポータルサイト「Yahoo! ケータイ」との連携もおこなわれる。今後ボーダフォンから発売される端末にはボタンひとつでYahoo! ケータイに接続する「Y!ボタン」が付けられるが、「Y!ボタンを押すとありとあらゆるニュースやコンテンツが全部無料で提供される。iモードやEZwebのビジネスモデルは根底から覆される」とアピールした。
また、NTTドコモやauが番号ポータビリティ(MNP)に向けてサービスを強化しているが、MNPの影響について「はじめてのことなのでやってみなければわからない」と回答する。その一方で、「(Yahoo! モバイルとの連携で)少なくとも日本で1番コンテンツそろっている状況が10月1日からはじまる。端末のラインアップも日本初の数。基地局や営業面でも頑張っていくつもり」と前向きな姿勢を見せた。すでにMNPの事前予約が始まっているが、その数は1、2万件程度となっており「お客様も販売店もまだ様子見なのでは」と示唆した。
さらにボーダフォン買収を発表して以来下がっている株価についても言及した。孫氏はこれまで、米Yahoo! に出資した際、Yahoo! BBを開始した際、さらに今回の携帯電話事業参入を発表した際の3回下がっていると説明する。しかし今までも「何か大きな節目の時には不安になって株価が下がる。しかしそれから数年たつと信頼も回復している」と、株価の下落が一時的なものであることを強調した。
過疎地などを含め全国で固定電話や公衆電話、緊急通報など均一なサービスを維持するために通信事業者が1電話番号当たり月額7円をユニバーサル基金に支払う「ユニバーサルサービス基金制度」については、「まだ確定ではない」としながら、NTTドコモやKDDIと同様にユーザーに課金する予定であることを発表した。
そのほか孫氏の会見では、Yahoo!メール、Yahoo!メッセンジャー、Yahoo!アドレスブックを統合したS!アプリ「Yahoo!mocoa」、3Dのアバターを使ったコミュニケーションサービス「S!タウン」、待ち受け画面にニュースやエンタテインメント情報を配信する「ライブモニター」、端末に登録したユーザーに状態や利用可能な通信手段を通知する「ホットステータス」、最大11人に片方向ずつのパケット通信による通話ができる「サークルトーク」、メールサービス「S!メール」でHTMLメールを利用できる「アレンジメール」、PC向けのウェブページを閲覧可能な「PCサイトブラウザ」などのソフトバンクモバイルの新サービスについても発表された。
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