世界はハイテク機器そして新メディアという情報源への依存度を増しているが、このことが伝統的な家族の価値を高める方向に働いている、ということがYahooと広告代理店OMDが実施した調査で明らかになった。
この調査は、南北アメリカ、アジア、オーストラリア、欧州の16カ国でインターネット接続が可能な4500世帯を対象に実施された。設問は、家族が一緒に過ごす時間の長さから、所有する機器の数にまでわたる。結論はシンプルで、情報化時代は核家族の重要性が見直されるだろうというものだ。
ただし、この結論は事例に多少依存している。家族の結びつきを世界規模で調査した事例は、携帯電話やPDA、家庭内での無線LANなどが一般的なものとして登場する以前にはない。また、インターネット接続環境を持っていない家族が調査対象となっていないという問題もある。「対照群がないため、比較することが難しい」とJupiter ResearchのアナリストEmily Reilly氏は言う。
それでもなお、インターネット接続環境を持った家族が、驚くほど伝統的な価値を重視していることを、この調査が明らかにしたことは事実だ。子どもを持つ回答者の73%が、毎日家族で食事を取ることが重要だと感じており、成人の10人に8人(未婚の回答者、子どもを持たない回答者を含む)は家族と過ごす時間を楽しいと感じているという。
この調査ではまた、家庭の理想的なあり方が、情報に追い立てられて非常に忙しい外部の世界と対立していることも明らかになった。ただし、ウェブを閲覧している最中にインスタントメッセージングをしたり、通勤中にメールを送ったりというように、技術のおかげでマルチタスクが可能になり、回答者は1日24時間で、睡眠時間を含めて平均43時間分の活動を行っているという。
また、インターネットやモバイル技術を利用する家族の多くが、それらの技術を家族の結びつきを強めるためにも使っているという結果が出た。回答者の70%が、技術は家族と連絡を取り合うのに役立っていると答えており、若い世代の回答者(18歳〜34歳)の半数以上が、技術は役に立つだけではなく、必要不可欠なものになっていると答えた。子供を持つ回答者の4分の1は、インスタントメッセージングは子供と連絡を取り合うのに役立っていると応えた。だが、多くの人は、こういった連絡手段はMySpace世代だけのものだと考えている。
しかし、Reillyは、「Family 2.0」と形容されるような家族が従来の家族よりも結束力が強いという意見は、大体が質的な結論だと述べる。「技術のおかげで、核家族や伝統的な価値をより重視する家族が生まれたかどうかを結論づけるには、民俗学的な長期の深い研究が必要だ」(Reilly氏)
また一方では、ネット接続機能を持った携帯電話やPCなどのデバイスが日常生活において重要な部分を占めていると考える社会層の一部を浮き彫りにしたという点で、この調査には価値があるとReilly氏は述べる。
また、今回の調査結果から、興味深い地理的な偏りも明らかになった。中国の回答者の内59%が、オンラインでストリーミング映像を閲覧したことがあると回答し、全体平均の25%を大きく上回っていた。デジタルビデオレコーダーの利用は、英国とメキシコで最も多かった。また、米国における携帯電話の利用は、他の先進国に比べて後れをとっていることも明らかになった。
Reilly氏は、調査結果から「こういった人々にマーケティングすることで得られる利益について指摘するのは間違いではない」が、Family 2.0は伝統的な価値をより尊重する傾向にあると述べるのはあまりにも飛躍しすぎていると語る。
Yahooの関係者に対してこの調査に関してコメントを求めたが返答は得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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