最近出産したばかりのRachel Cookさんは、ネット上で、他の母親たちからアドバイスをもらうなどしてつながりを持ちたいと思っていたが、あまり良いサイトを見つけられないでいた。
彼女は何とかしようと、友人とMinti.comを設立し、3月からサイトを稼働した。Mintiはオーストラリアのパースに本拠を置く個人企業であり、子育て相談のためのWikipediaを目指している。サイトは、トイレのしつけから予防接種まで、母親たちのコミュニティーから寄せられたさまざまな情報で構成されている。
最近、家族に関わるさまざまなテーマに自分のお金と時間を費やし、子を持つ親やお年寄り向けに新世代のウェブサイトを立ち上げる個人企業家が増えている。Cookさんもそうした企業家の一人だ。これらのサイトでは、MySpace.comやWikipediaなどの有名サイトで採用されている、フォトシェアリング(写真や画像の共有サービス)やWikiといったソーシャルネットワーキングの概念を多く取り入れている。
こうしたサイトのことを「Family 2.0サイト」と呼んでもよいだろう。ティーンエージャーといっしょにMySpaceに顔を出すのは少し場違いと感じている人たち向けのサイトである。このような家族向けのサイトは随分前から存在していたが、新しいウェブテクノロジを活用したサイトはほとんどなかった。今では広く普及しているRSSフィードや地図リンクさえも使われていないサイトが大半だった。
「この分野は十分なサービスが提供されていない市場だ」と、ネット向けソフトウェア開発企業JotSpotの創設者Joe Kraus氏は言う。同社はこの5月にファミリー向けネットワーキングソフトウェアFamily Siteを発表した。「車の世界でも、メーカー側は馬力やエンジンの排気量ばかり宣伝してきたが、消費者が本当に求めているのは安全性や使い勝手だった、というようなことがあった。ウェブ上でも、使う側が本当に欲しているものに作る側がようやく応えるようになってきた。このツールを使って家族と連絡を取り合うにはどうすればよいのか、といった声に耳を傾けるようになった」(Kraus氏)
1月以降、Ourstory.com、Zamily.com、Amiglia.com、Families.com、Famoodle.com、Jotspot Family Site、Cingo.com、FamilyRoutes.com、Famundo.comなど、10以上のファミリー向けネットワーキングポータルサイトがテスト稼働された。あのMartha Stewartも料理のレシピやさまざまな情報を交換する女性向けのソーシャルネットワーキングサイトを開設する計画を立てている。
こうしたサイトの何がウケているのだろうか。さまざまな話題を議論するオンラインフォーラムは昔から利用されているし、子育てに関する情報ならiVillage.comで得られるのではないか。その答えはこういうことだろう。つまり、多くの人たちが、RSSやWikiや地図リンクといった先進のソーシャルコンピューティングテクノロジを利用して、家族でちょっとした簡単なことをやりたがっているのである。連絡を取り合ったり、写真やカレンダーを共有したり、家系図を描いたり、休暇の予定を立てたり、果ては今年のクリスマスのメインディッシュを投票で決めたりといった他愛のないことができる場所が求められているのだ。
こうしたサイトは、ソーシャルアプリケーションを活用した他のサイトと同じように、その大部分がユーザー自作のコンテンツで構成されており、サイト側はほとんど手間をかけていない。
「今は、安価なストレージ、高速なCPUとインターネット接続環境を誰でも利用できる。そうしたテクノロジとソーシャルネットワーキングを組み合わせるという素晴らしいアイデアが形になったのがこれらのサイトだ。人とつながって自己表現することを求めているお年寄りたちも増えている」と、調査会社Forrester Researchの上級アナリストPeter Kim氏は述べている。
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