Googleが無料ウェブメールを40カ国語対応にする計画を進めている。しかし、「Gmail」という名称を世界共通で使用しようと考える同社は、数々の障壁に直面している。
2005年10月、検索最大手のGoogleは英国で「Gmail」の商標をめぐる紛争に巻き込まれ、和解による解決を探った末にメールサービスの名称を自主的に「Google Mail」に変更し、大きな話題となった。また、英国の一部ユーザーからはこの不手際に対し非難の声があがった。
しかし、問題はそこで終わらなかった。西ヨーロッパ全域を舞台に、Googleとドイツ人ベンチャーキャピタリストDaniel Giersch氏との間で、静かな闘争が始まったのだ。Giersch氏は6年前に取得した「G-mail...und die Post geht richtig ab」(G-mail……郵便物はすぐにお手元に)というドイツ語の登録商標を決して手放さないと主張している。
Giersch氏はこのほど、ロサンゼルスの仮住まいからCNET News.comの電話インタビューに応えて、次のように述べた。「Googleのやり方は、非常に脅迫的で、非常に攻撃的で、非常に不誠実なものだ。わたしにとっては、大変な悪(evil)だ」
ドイツでは、ハンブルグの地方裁判所がすでに予備審問および訴訟の最終段階でGiersch氏の権利を認める判断を示している。同地裁は2つの名前に混乱を招くような類似はないとするGoogle側の主張を認めず、2006年に入って、同社にドイツ国内のすべてのサービスから「Gmail」の表記を削除し、同国内で「gmail.com」を含む名称のユーザーへの配布を中止するよう命じた。
Giersch氏はドイツでの勝訴に勢いを得て、ドイツ以降にこの商標を登録したスイス、ノルウェー、モナコ公国でも裁判を起こす計画があると述べた。同氏は「Giersch mail」を短縮したG-mailの名称を使用している電子郵便配達ビジネスを、これらの国々にも拡大したい考えだ。また、Giersch氏は米国での訴訟も検討しているという。提訴理由は「投資損失」で、米国外での紛争により、同氏が営むベンチャーキャピタルの米国子会社が損害をこうむったとするものだ(Googleは別件で、米国でも商標権をめぐる争いに直面している)。
Googleは今なお、ドイツおよび同社がGmailの商標登録を出願したすべての国で、Gmailの名称を使用する権利があると主張している。同社は、ハンブルグ地裁の決定を不服とする申し立てを行っているが、目下のところ同地裁の命令には従っているという。同社は地裁から仮差し止め命令の出た2005年4月以来、ドイツ国内に居住していると特定されたすべてのユーザーに対して、googlemail.comのアカウントのみを提供しているとのことだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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