光ファイバ照明が米国立公文書館に展示されている合衆国独立宣言書の照明に適しているというのなら、乳製品ケースの照明用にもよいはずだと、Fiberstarsの最高経営責任者(CEO)John Davenport氏は考えている。
オハイオ州ソロンに本拠をおくFiberstarsは、産業用の照明設備と光ファイバ技術を組み合わせて、従来の蛍光灯や白熱灯よりもはるかにエネルギー消費の少ない室内照明システムを開発した。同システムはメタルハライド高輝度放電(HID)ランプを利用し、70ワットのメタルハライドランプ1個で50ワットの白熱灯8個分の光量を得ることができる。
「このシステムの消費電力は、エネルギー効率が最もよい蛍光灯の約3分の1、平均的な蛍光灯と比べると約4分の1だ」とDavenport氏は語った。さらに光ファイバ照明では、蛍光灯と違って水銀を使用しておらず、熱や紫外線も出さない。
Fiberstarsの設立は1980年代後半で、連邦から約1600万ドルの研究助成金を受けている。光ファイバの価格が高いこともあって、同社の「Fiberstars EFO(Efficient Fiber Optics)」照明システムはこれまで、主に特定の限られた用途向けに販売されてきた。たとえば、ラスベガスのホテルは、天井や壁の照明に特殊効果を出すために同システムを購入している。
プールの製造業者もEFO照明に関心を寄せている。水中に電気系統を設置する必要がなく、感電事故の危険性がないためだ。また、独立宣言書の照明にFiberstarsの照明システムが採用されたのは、光源から紫外線や熱が発生しないからだ。
2005年、Fiberstarsは2830万ドルを売り上げたが、740万ドルの赤字を計上している。
しかしながら、電力料金の高騰や新たな規制の登場といった状況が、EFO照明システムへの関心を広めつつある。ニューヨークのW Hotelは、薄暗いことで悪評が高い廊下にEFO照明を設置する予定だ。
食品小売大手のWhole Foods Marketは、各店舗のシーフード売り場で白熱灯をEFOに切り替えた。その結果、電力消費が削減されただけでなく、売り場周辺の気温が下がった。
食品雑貨店をチェーン展開しているAlbertson'sでは、EFOを試験導入して、冷凍施設のエネルギー消費が削減できることを確認した。同社では今後シーフードやワイン、野菜などの照明にEFOが使えるかテストする計画だ。従来の照明では氷が解けたり、ワインの風味が損なわれたりした。
Davenport氏によれば、住宅用のEFO照明は2007年には登場するかもしれないという。
EFOは基本的にメタルハライドランプを光源として利用する。メタルハライドランプは非常にエネルギー効率が高く、1ワット当たり90ルーメンの光量を得ることができる(ルーメンとは、光の量を計測する単位だ)。代表的な白熱灯では、エネルギーの大部分が熱に変換されるため、1ワット当たりの光量は15ルーメンに過ぎない。
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