時流に迎合しない投資と経営が成功の鍵 - (page 2)

永井美智子(編集部)、田中誠2006年09月07日 08時00分
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後藤:当時はサービス開始時に大きく広告を打って、一気に知名度を上げて、シェアを取って、そのままの勢いでカテゴリーのナンバー1まで登りつめるというのがセオリーになっていました。本当か嘘か分からないけどそうするしかないという風潮で、僕も手持ちのキャッシュでサイトを作り、最初の月に2000万円くらい広告費をかけて始めたんです。

 でもサイトオープン時にはすでにネットバブルも崩壊していて、実際にバナーを出しても月に70万円くらいしか売れない状態だったんですよ。さすがに広告費の半分も売れないということはないだろう思っていたんですが、2000万円かけたのに70万円しか売れなくて、計算すると7月か8月には資金が足りなくなることが分かって青ざめました。

 ただ、良いサイトを作ったという自信はあって、これをそのまま展開していけば良いものはできる自信はあったんです。それでいろんなVCに話を持っていたんですが、やっぱり門前払いなんですよね。「何で今さらBtoCなの、今はBtoBtoCだよ」という感じで。

勝屋:それで上田谷さんの所に行かれたんですね。

後藤:はい。良いものを作った自信はあるのでお金を出してくれないかと。そうしたらわりと軽く「いいよ」という話になったんです(笑)

上田谷:後藤さんとはずっと友人づき合いを続けていたんです。よく、アーリーステージでの投資は社長の人間性を見ろとか、VCと経営者の相性が大事と言いますが、その部分の検証はすでに済んでいたんですね。

 しかも後藤さんが社員1人というような通販会社の時代から、したたかに商売をやっていて、サイトを立ち上げるくらいのキャッシュを積み上げていたのは知っていたので、商売人としての信用はできたんです。大前さんも当然、後藤さんのことは知っていたので、話は早かったんですね。

 実は、7月末の支払いに僕たちのインキュベーション会社の設立登記が間に合わないということが分かって、大前さんから個人のお金を借りて投資して、会社ができてから会社出資に振り替えたりしたんです。もうこれは普通のVCではまずやってはいけないことですよね。

勝屋:すごいタイミングだったんですね。一方、金融系VCの鮫島さんはどのようにケンコーコムと付き合い始めて、投資することに対してどう会社を説得したんですか。

鮫島:私が関わるようになったきっかけは上田谷さんの紹介ですね。2001年の5、6月ごろからです。上田谷さんから良い会社があると言われて、「どういう会社ですか」と聞いたら、健康食品を扱っているECサイトと言われて。最初は思いっきり引きましたね(笑)

 当時、ECサイトは全滅している時で、しかも健康食品を扱っているってどういうことだろうと思いました。でも上田谷さんの紹介なのでとりあえずお会いして話を伺ったら、当時、私が役員を務めていたスタイライフという会社とビジネスモデルが一緒だったんですよ。

 それで理解ができて、よくよく聞いてみると今で言うSEO(検索エンジン最適化)を自分たちでやっていたんですよね。まだSEOなんて言葉もないうちから自分たちでグーグルを解析して対処していたのにはびっくりしました。

 ただ、会社としては、「健康食品?EC?何それ?」という状態でしたから、案件を通すのは大変でした。説得材料としては、先に投資してうまくいっていたスタイライフと同じビジネスモデル、当時で言うクリックアンドモルタルというスタイルだったこと、そしてやっぱりSEOをしっかりしていたことですね。

 とにかくあの当時はSEOという言葉すらないわけですから、サプリメントごとに検索してトップページに出てきたものを何枚も何枚もコピーして資料として出すわけです。「入力してみてください、必ずトップに出てくるんですよ、トップに出てこないと誰も買わないですよ」と言って。それで会社をしぶしぶ納得させて案件を通したという感じですね。

勝屋:後藤さんの先見性を洞察したわけですか。

鮫島:先見性というよりそこまで自分たちでやるのかという感じでしたね、当時としては。

 後藤さんについても、突飛なことはしない人だろうなという印象でした。当時すでに自分で通販ビジネスを立ち上げて、3つくらいの商品で3億円の売り上げを計上していましたから。それはすごい実績として評価しました。

上田谷:それは僕も同じですね。後藤さんは、コンサルタント出身の起業家ということで紹介されたりしていますけど、実際は実家も商売を営んでいる商売人だなという印象を持っていました。

勝屋:上田谷さんがアタッカーズ・ビジネススクールで最初に後藤さんに会った頃の印象はどうだったんですか?

上田谷:アタッカーズ・ビジネススクールは、いろいろなバックグラウンドの方が集まってくるのですが、後藤さんのビジネスプランはとても洗練されていて、その時はコンサルタント的には、高い能力がある人だなと思っていました。でも、その印象よりも、後になって、独立して全然違う事業を始めて、会うたびに社員が増えて、売り上げが伸びていってるそのプロセスを見ていた時の方が強烈でしたね。商売人というのは普通のコンサルタント上がりの人とは人種が違うんだなと思いました(笑)

勝屋:なるほど。逆に後藤さんから見た2人の印象はどうだったんですか?

後藤:上田谷さんとはお互いコンサルタントをやっている時にクライアントを通して会ったことがありました。新卒1年目のときですかね。最初は本当にものをずけずけと言う新卒だなあという印象でした(笑)。鮫島さんは淡々としていて、そんなにしゃべるわけではないけど、ひと言ひと言が鋭いという印象でした。

 正直に言って、ネットバブル崩壊前後の印象があったのでVCに対するイメージはあまり良くなかったんです。自分の考えを持たずに、その時の流れに乗って対応を変えていくタイプが多いのかな、とも思っていました。でも、鮫島さんも上田谷さんも自分の視点をきちんと持っていて、時代の流れとは関係なく、自分が評価できると思ったら評価してくれる人、という印象でしたね。

ニュー・フロンティア・パートナーズ株式会社 投資第一チーム チーフキャピタリスト
鮫島 卓

東京リース株式会社入社、金融業務全般に従事。1991年1月国際ファイナンス株式会社(現:ニュー・フロンティア・パートナーズ株式会社)入社し投資部配属直後に融資部へ異動、1999年4月投資部に異動しベンチャー投資業務開始。
IT・インターネット関連企業を中心に投資を行っており、2002年3月以降は日立製作所との相対ファンドのファンドマネージャー兼チーフキャピタリストを兼務。

趣味:スポーツTV観戦、読書、ゴルフ(主に練習)、バルコニーガーデニング(ミント差し上げます)、酒、猫

投資先:インスペック(東証マザーズ:6656)、スタイライフ(大証ヘラクレス:3037、元監査役)、メディア・トラスト(M&Aでトランスコスモス傘下に)、シンプルプロダクツ(M&Aで富士写真フィルム傘下に、現富士フイルムシンプルプロダクツ)、エキサイト(JASDAQ:3754)、ケンコーコム(東証マザーズ:3325)、OSA Technologies(M&AでAvocent傘下に)、オプト(JASDAQ:2389)、インデックス(JASDAQ:4835、現インデックス・ホールディングス)、ビーマップ(大証ヘラクレス:4316)、フルキャスト(東証1部:4848)、ムービーテレビジョン(ソフトバンクブロードメディアに営業譲渡)、インプレス(東証1部:9479、現インプレスホールディングス)、 IPLOCKSフィルテックInterCureネクシオン(取締役)、リファインバース(取締役)、インビジブルハンド(元取締役)、WIDEアクアサイエンスネットラーニング先端情報工学研究所パシフィック・デザイン(取締役)、オープンドアダブル・アイ・テー・ジャパンイメージクエストインタラクティブウェブベース、外7社

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