雑誌のオンライン書店「Fujisan.co.jp」を運営する富士山マガジンサービスは8月31日、米Zinio Systemsとデジタル雑誌の日本国内での展開に関する独占契約を締結したことを発表した。Zinio Systemsは、デジタル雑誌の分野で米最大手事業者。
今回の提携により、富士山マガジンではFujisan.co.jpでデジタル雑誌のサービスを今後開始する予定。今後開始予定のサービスについて「定期購読を前提に、購読しているデジタル雑誌の最新号を発売日に電子的に読者に即納できる」(代表取締役の西野伸一郎氏)としている。また、雑誌を表紙から裏表紙まで中身の広告ページも含めて全ページを、紙の雑誌と全く同じ複製物としてデジタル化されているという。
出版社がデジタル雑誌を販売することのメリットとして、(1)ネット上の新たな読者の獲得(2)低い制作コスト(3)低い管理コスト――を挙げている。(1)について西野氏は「ネットの普及が雑誌読者と雑誌の広告予算を奪ってしまった側面は否めない。だが、今回のサービスでデジタルの雑誌をネット上で購入できるようにすることで、ネットにシフトしてしまった雑誌の潜在読者にアプローチできるようになる」と語っている。
(2)は、指定したPDFファイルを納品するだけで、デジタル雑誌の販売ができることから、印刷用のデータを利用して、既存の制作フローに影響を与えることなく、デジタル雑誌を作成できるというメリットだ。(3)のもたらすメリットとは、デジタル雑誌を利用してバックナンバーを販売すれば、現在かかっているバックナンバーを保管するための倉庫代金、そのほかの管理費を大きく削減できるというメリットである。
今後展開するサービスでは、DRM(著作権管理機能)を利用する。この機能により、ファイルを別のPCにコピーしても見ることができない。また、スクリーンショットを防止する機能や印刷時にウォーターマーク(透かし模様)を入れたり、印刷できるページ数を制限したりする機能も搭載することができる。
Zinioは2000年に創立した企業であり、雑誌の定期購読サービスを電子的に提供している。現在400誌以上の出版物をデジタルで配信している。
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