コロラド州アスペン発--ブロードバンド企業のQwest Communications Internationalは米国時間8月22日、インターネットサービスプロバイダー(ISP)に顧客の行動の記録を義務付ける法案を強く支持した。これにより、米議会の新法制定に向けた取り組みが加速する可能性がある。
Qwestの企業内弁護士兼最高プライバシー責任者(CPO)のJennifer Mardosz氏は、いわゆる「データ保持」をブロードバンドプロバイダーに義務付けるための政治家らの取り組みを称賛した。Alberto Gonzales司法長官もこのデータ保持は、テロや児童労働搾取に対する捜査に役立つとしている。ブロードバンドプロバイダーがデータ保持法案の制定を求めたのは今回が初めてと見られる。
Mardosz氏は、当地で開催されているProgress and Freedom Foundation(PFF)主催の年次サミットの中で、「われわれはデータ保持に関する法案を支持する」と語った。また同氏は、Diana DeGette下院議員(コロラド州選出、民主党)が4月に提出した法案(PDFファイル)への「全面的な」支持を表明した。
ブッシュ政権はかつて、「広範かつ義務的なデータ保持体制に対し大きな不安」を表明していたにも関わらず、その後態度を一変し、現在はデータ保持法制定を議員らに働きかけている。下院エネルギーおよび商業委員会の有力な委員長であるJoe Barton下院議員は、データ保持への支持を表明しており、同委員会主催の児童労働搾取に関する一連の公聴会が終了し次第、法案を提出すると見られる。
Mardosz氏は22日、「われわれは(データ保持)法案を支持する」と述べ、さらに「われわれは会議の席に着き、これらの議論に参加したい。重要なのは、何が妥当な線か、どうすればプライバシーの利益と法の執行の利益とのバランスを取れるかという点だ」と続けた。Mardosz氏によると、Qwestはすでに、同社が過去1年間に提供したサービスの99%以上のログを保存しているという。
USA Today紙の5月の記事によると、Qwestは米国家安全保障局(NSA)に対し、裁判所命令を入手してから電子的監視を行うよう要求し、顧客のプライバシー権を守ったという。それを考えると、今回のQwestの態度は異例といえる。コロラド州デンバーに拠点を置く同社は、時価総額165億ドルを誇り、現在の顧客数は、無線サービスの顧客が78万4000人、DSL(デジタル加入者線)サービスの顧客が170万人だという。
データ保持の義務付けに対しては、複数のプライバシー擁護団体が強く反対しており、また多くのISPが新法に疑念を抱いてきた。中小規模のインターネット関連企業の業界団体、U.S. Internet Industry Associationは「(現在の案は)正しい方向に向かっていない」と指摘しており、また業界団体Information Technology Association of America(ITAA)は(データ保持の)立法化について「強い懸念」を表明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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