Alberto Gonzales米司法長官が、インターネットサービスプロバイダ(ISP)へのデータ保存の義務付けに関するこれまでの発言を大幅に修正した。長官は、ISPに顧客のオンライン活動記録の保存を義務付けるのは、児童ポルノの撲滅が目的と発言していたが、今度はテロとの戦いで必要と発言したことがCNET News.comの取材で明らかになった。
Gonzales氏とFBI長官のRobert Mueller氏は先週、AOL、Comcast、Google、Microsoft、Verizonの関係者らと非公式に会談した。その時の事情に詳しい複数の情報筋が米国時間5月30日に匿名を条件に語ったところによると、Gonzales、Mueller両氏は会談の中で、テロリストの訴追を容易にするために、ISP(そして、おそらく検索エンジンも対象に含まれている)に対し、2年間のデータ保存を義務付けると述べたという。
会談の内容に詳しいある人物によると、Gonzales氏は「われわれが(データ保存を)要求するのは、テロ対策が目的だ」と語ったという。
しかしGonzales氏の以前の発言では、データ保存の法的義務付けが児童ポルノ撲滅にいかに役立つかという点ばかりが強調されていた。
Gonzales氏は、4月に行方不明および搾取された児童のためのセンター(National Center for Missing and Exploited Children:NCMEC)で行った講演の中で、ISPに記録の保存を義務付けるのは、「児童を虐待し、虐待の様子を撮影した画像をインターネットを通じて世界に発信する」犯罪者らの捜査を容易にするためだと発言していた。
データ保存の義務付けの問題に関しては、最近、司法と政治の両面で争われているが、仮にデータ保存が、主にテロ対策の手段とみなされるようになれば、データ保存を標準的な習慣にしようとしている司法省の取り組みはさらに困難になる可能性もある。
特に最近、AT&Tが同社のデータベースを米国家安全保障局(NSA)に公開していたことがマスコミで報じられたのを受け、インターネット企業や通信事業者の幹部らは、連邦政府の監視プログラムに全面協力していると思われることに及び腰になっている。
さらに、検索語をめぐり司法省と法的争いを展開したGoogleがマスコミで好意的に取り上げられたのを見て、インターネット企業各社は、プライバシーの分野で政府の要求に反対することのメリットを認識した。
26日の会談内容に詳しいある人物は、「プライバシーの観点から見れば、巨大なデータバンク(の構築)など常軌を逸している」と述べ、さらに「中国政府が保存している以上のデータを米国政府が保存しようとしているとは」と付け加えた。
Comcastは声明の中で次のように述べている。「児童ポルノやテロリズムといった違法行為にインターネットが利用されるのを阻止する必要がある、との司法長官の見解には全く賛成だ。われわれは、この問題に取り組む国内の対策チームを召集した司法長官の指導力を称賛しており、今後も引き続き、長官およびFBIに協力してゆきたいと考えている」
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