コロラド州アスペン--米連邦取引委員会(FTC)のDeborah Platt Majoras委員長は米国時間8月21日、ネットの中立性に関する広範な規制をブロードバンドサービスプロバイダーに課す法案に対し、強い疑念を表明した。
Majoras委員長は、現在上院で審議中のネットの中立性に関する広範な法案は不要であると指摘した。同氏はその理由として、これまで消費者に明確な損害が発生していないこと、いかなる問題も通常の市場原理により回避できる可能性が高いこと、新法を制定すれば、解決される問題よりも、さらに多くの問題を生む可能性があること、の3点を挙げた。
当地で開催されているProgress and Freedom Foundation(PFF)主催の年次カンファレンスで、Majoras氏は昼食会の出席者を前に、「インターネット内の自由な探索を制限する規制を課す、または、希望する選択肢を提供しないという状態にインターネットが突然なった場合、果たして消費者が我慢できるか疑問だ」と語った。
これらのMajoras氏のコメントは、上院が広範な通信法改正法案の審議を行っている最中に飛び出した。6月に、ある上院委員会が、ブロードバンドプロバイダーに厳格な規制が課す修正案を小差で否決した。Ron Wyden上院議員(民主党、オレゴン州選出)は、その修正案が採用されない限り、改正法案の採決を阻止すると語っている。
ネットワークの中立性とは一般に、すべてのインターネットサイトを平等に扱わなくてはならないとする考え方だ。この概念に対しては、女優のAlyssa Milano氏やインターネットの技術的先駆者の1人であるVint Cerf氏など、多くの有名人が支持を表明している。
また、ネットの中立性をめぐっては、同概念を支持するGoogleやYahooなどの大手インターネット企業と、自分らにとって不利な連邦法が新たに制定されることを懸念する電気通信企業との間で政治的対立も生じた。ここ数カ月間に、ネットの中立性は党派的な問題となっており、共和党員らはブロードバンドプロバイダー側に立っている。(上院商務委員会の民主党委員すべては、6月に行われた修正案の採決で賛成票を投じたが、結局同案は否決された)
FTCは、米連邦通信委員会(FCC)とともに、ブロードバンドプロバイダーによる特定の不正行為に対する法の執行権限を有することから、Majoras氏の発言をきっかけに、これまでネットの中立性を慎重に支持してきた一部の上院議員がより放任主義的な立場に傾く可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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