ワシントン発--米連邦議会の上院小委員会は米国時間6月28日、「ネットの中立性」に関する厳格な規則を定めた通信法の改正案を賛否同数で否決した。eBayやGoogle、Amazon.comなど、中立性の立法化を2006年の最優先事項として政界に働きかけてきたネット企業にとっては、大きな痛手となる。
今回の改正案は民主党の支持のもと提出されたが、上院商務委員会での議決は11対11の賛否同数で、可決には至らなかった。同案は、「発信源」や「到達先」にかかわらず、すべてのインターネットトラフィックがまったく同等に扱われるよう義務づけるものだ。改正案の可決には過半数の賛成が必要だった。
ネット企業は包括的な新規制の必要性を議会に訴えてきたが、今回の議決によりその取り組みはさらに困難になるとみられる。特に、下院が6月8日にネットの中立性に関する法案を269対152の大差で否決した後とあってはなおさらだ。
商務委員会では、共和党所属の委員たちが、通信法の大幅な改正案にネットの中立性に関する規制を盛り込むこと自体に反発を示した。AT&TやVerizonなどのブロードバンドプロバイダはこうした規制は時期尚早で不必要だと主張しており、共和党の委員の見解はこれを反映したかたちだ。同委員会の委員長を務めるTed Stevens議員(アラスカ州選出、共和党)は、「明らかな必要性はまだ認められていないのに、厳しい規制を強要するものだ」だとして、法案に賛成する議員を強く非難した。
さらに共和党は、こうした規制条項を加えることで、幅広い内容を含み、1996年以来最大規模の変更となる通信法改正案が、最終的に議会を通過しない可能性もあると警告した。John Ensign上院議員(ネバダ州選出の共和党)は「これは間違いなく、可決の妨げになる毒薬だ」と述べた。
これに対し、民主党は5月に個別の法案として提出したものを修正して通信法改正案に条項として組み込み、結束して支持してきた。同改正案は、ネットワーク事業者が「インターネットトラフィックの伝送、処理を発信源や到達先、あるいは所有者などによって」差別することを禁じるものだ。同案が可決すれば、たとえば、Verizonが契約を結んで高解像度の映像伝送サービスを提供し、そのトラフィックを自社のネットワーク上で優先的に扱うといったことが防止できる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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