サーバおよびソフトウェア企業のSun Microsystemsは2006年、重要なJavaコンポーネントのオープンソース化を開始する。さらに、Java技術の小型機器向けバージョンにもオープンソース化の対象をひろげ、開発者コミュニティーにおける共同作業を促進する考えだ。
Sunの開発者向け製品およびプログラム部門担当バイスプレジデントのLaurie Tolson氏によると、同社は、Javaプログラミング言語で書かれたプログラムを走らせる2つの主要技術である「javac」コンパイラと「Java HotSpot Virtual Machine」を、2006年末までにオープンソース化する予定だという。
これらのコンポーネントは、サーバおよびデスクトップコンピュータ用の「Java Standard Edition(Java SE)」に組み込まれているものだ。さらに、携帯電話などの小型機器向けバージョンである「Java Micro Edition(Java ME)」もすべて2006年末までにオープンソース化する予定だと、Tolson氏はLinuxWorld Conference and Expoに関連してサンフランシスコで行われた記者会見の席で述べた。
Sunは長年、オープンソースファンから専売企業と批判されてきた。Javaのオープンソース化計画は、Solaris OSのオープンソース版である「OpenSolaris」とともに、従来の認識と現実を覆す意欲的なプログラムのなかでも最大級の注目を集めている。
Sunの究極の目標は、社外顧客が使う技術に影響力を持つプログラマーを味方につけることだ。Tolson氏は「われわれはコミュニティーを呼び込もうと努力している」と述べ、Java開発コミュニティーのフォーラムサイトでライセンスのオプションなどの詳細について意見を求めている、と付け加えた。
Tolson氏によると、Java SEソフトウェアのフルパッケージは2007年前半、それもたぶん早い時期に、オープンソース化される予定だという。ただし、画面上にフォントを表示するためのソフトウェアなど、一部のコンポーネントについては、Sunは権利を保有していないため、オープンソースソフトウェアにプロプライエタリなモジュールを添えることになるだろう、とTolson氏は述べた。
Sunは、オープンソースJavaに適用するライセンス方式をまだ決めていない。だが、2005年にリリースした「Java Enterprise Edition」(Java EE)のオープンソース版である「GlassFish」には、自社で策定したCommon Development and Distribution License(CDDL)を適用している(Java EEは複数の高度なコンポーネントで構成され、実行にはJava SEの基礎部分を必要とする)。
オープンソース擁護者は長年、オープンソースプロジェクトの一環としてJavaのソースコードを公開するようSunに圧力をかけてきたが、Sunは、Javaが「枝分かれ」して互換性のない複数のバージョンになる懸念があるとして、これを拒否した。だが今では、オープンソースソフトウェアの必要性がさらに大きくなり、枝分かれの問題はもはや最大の懸念ではなくなった、とTolson氏は説明する。
「全体的に見れば、市場の進化ということだ。オープンソース技術の需要が変化してきた。それに、コミュニティー自体が(Javaの)互換性を維持することに協力的になっている」(Tolson氏)
BEA SystemsやIBMなどがリリースしたバージョンにおける違いが若干の混乱を招いたものの、大部分については、Javaは互換性のないバージョンに枝分かれしなかった。だが、SunがJavaのソースコードを公開することを拒んでいた数年の間に、開発者は他の選択肢に注意を向けるようになった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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