約1年後の2002年8月、開発コード名「Jaguar」がそのまま愛称となったMacOS X 10.2が登場する。
最適化や描画速度の高速化が図られたほか、いよいよMacOS Xならではの機能、付属アプリケーションが装備されはじめる記念すべきバージョンだ。
グラフィックアクセラレータの性能を駆使することで描画性能を飛躍的に向上させると同時にCPUの負荷を減らす「Quartz Extreme」(「Quartz」はMacOS Xの2Dグラフィックス描画エンジンの名称。3DグラフィックスはOpenGL)や、ネットワーク上の機器を自動的に認識する「Rendezvous(ランデブー)」(10.4から名前が「Vonjour(ボンジュール)」に変更された)が搭載されたのが大きなトピック。Quartz ExtremeによりMacらしいユーザーインターフェースの演出がスムーズに行われるようになった。
付属ソフトも充実。カレンダーソフトの「iCal」、メッセンジャーの「iChat」、PDAや携帯電話とシンクロする「iSync」が登場。メールソフトの「Mail」も強化され、学習型迷惑メールフィルタが搭載された。
マイナーアップデートの10.2.8では独自のウェブブラウザ「Safari」が登場し、IEからSafariへの移行がはじまった。サードパーティ製アプリケーションも次々とMacOS Xに対応し、アップルからもiアプリケーションと呼ばれるコンシューマー向けソフトウェア群が登場するなど本格的に動き出した年だ。
今でも「MacOS X 10.2.8以降」が動作条件となっているアプリケーションは多く、このバージョンがひとつの転換期になっていることがわかる。
そして2003年10月、MacOS Xの最初の完成形といっていい10.3(Panther)が登場した。
MacOS Xならではのユニークな機能満載である。Finder(ファイルの操作やソフトウェアの起動ができる機能)では、画面に散らかったウィンドウ類を一瞬にして重ならないように整理し、目的のものを選択できる「Expose(エクスポゼ)」が搭載され、そのエフェクトの滑らかさも相まってMacならではの機能として認識された。また、ログインしたまま別のユーザーでログインしなおせる機能は「ファストユーザスイッチ」として実装され、キューブエフェクトで画面が切り替わるさまもMacらしい演出として評判となった。
MacOS X独自の進化と同時に、避けては通れないWindowsとの共存するための機能についても強化された。ネットワーク関連ではWindows系ネットワークとの親和性が増し、MacとWindowsでのネットワークを介したプリンタ共有も可能になっている。また、従来、MacOSの標準ファイル圧縮・アーカイブ形式は.sit(StuffIt)だったが、世界で標準となっているzipに変更して、Finderがzip圧縮、解凍をサポートするようになった。
このほか、Finderのウィンドウにサイドバーが導入されて、よく使うフォルダなどにすぐアクセスできるようにするなど大幅に機能を強化している。付属ソフトもSafariが標準ブラウザとなり、プレビューのPDF表示機能が強化された。
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